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高鳴る鼓動(レオン視点)
かすかに胸に重みを感じる。
(何だ?)
手で探ると、おそらくだが、アスターシャがレオンの胸に覆い被さっているらしい。
「おい……」
声をかけるが、彼女が健やかな寝息を立てていることに気付く。
それから自分が無意識のうちに、彼女の手をがっちりと握ってしまっていることに気付く。
(これでは、自分の部屋に戻りたくても戻れないな……)
レオンは自分のわがままに付き合わせたことを思い出し反省してしまう。
つい、甘えてしまった。
春といえども夜まだ冷えるが、今の自分は抱き上げて部屋まで連れて行くこともできない。
(こんなことでもしないよりはマシ、か)
レオンはアスターシャは包み込むように抱きしめた。
がらにもなく、緊張し、鼓動が速まるのを自覚する。
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