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身代わり婚~光を失った騎士団長は、令嬢へ愛を捧げる  作者: 魚谷


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永遠の誓い

 アスターシャの誘拐騒ぎが終わった一ヶ月後。

 カタリナはついに、この時を迎えた。

 純白のウェディングドレスに身を包み、その隣には、立ち姿も凛々しい黒い礼装に身を包んだレオン。

 二人の間には、純白のドレス姿のマリアンヌ。

 カタリナとレオンに手を引かれて上機嫌。

 招待客は国王の名代である王太子をはじめ、この国の中枢にいる貴族たちがずらりと並んでいる。

 その中には侯爵夫人、エイリーク、ライムの姿もあった。

 かつてカタリナと一緒に、失明していたレオンの世話をしていたデボラの姿も。

 彼女はカタリナが屋敷を追い出された後、アスターシャに脅迫され、外国に嫁いだ娘の元へ逃げだし、身を隠したのだった。

 それがアスターシャが処刑されたという知らせを聞き、急ぎ帰国。

 公爵の元へ戻り、これまでの事情を洗いざらい話したのだった。


「では、始めましょう」

「あい!」


 司祭の言葉にマリアンヌが元気よく返事をすると、招待席から笑いが弾けた。


「レオン・グレイウォール。病めるときも健やかなる時も、新婦、カタリナを愛することを誓いますか?」

「誓います」

「カタリナ・グレイウォール、病めるときも健やかなる時も、新郎、レオンを愛することを誓いますか?」

「誓います」

「ちかいます!」


 向かい合った二人は指輪を交換する。

 この日のために特注で作らせた指輪には、大粒のダイヤが輝く。


「……では、誓いの口づけを」


 レオンがベールをあげる。


「綺麗だ」

「……ありがとう」


 レオンはそっと、その唇を塞ぐ。


「まいあぬもぉ!」


 二人はくすりと微笑みを交わす。

 レオンがマリアンヌを抱き上げると、二人で、愛娘の頬に口づけをする。


「きゃーっ!」


 マリアンヌは嬉しそうに笑顔を弾けさせる。

 その声が、幸せに満ちた空間にいつまでも響きわたった。

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