彷徨い求めた依存先
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
依存させたい二人。依存しない二人。
「疲れましたわ。我が君」
私の元に来るなり欠伸を一つ残し、適当に履いていた靴を足先から放り投げた。そのままダラダラと此方に向かって歩くと、そのままなし崩し倒れ込む。着地点は膝上。まるで狙った様に頭を乗せると、小さな動きで伸びをした。
「お疲れ様。その性格辞めたら?」
疲れの原因は課した試練ではなく、その後に行った後輩達との雑談だろう。今はくったりとしたお嬢様様口調で話しているが、普段は存外真逆だったりする。敬語を取り払った軽口を叩き、その場を沸かせた後に颯爽とその場を後にする。故に結構後輩から人気。
よくよく観察するとその笑顔が引き攣っていたり、目の奥が理知的であったりするが、場の空気が濁してそれを隠している。
「無理ですわ。好きですもの、この外ズラ」
数分だけの膝枕に満足したのだろう。さっさと頭を退かすと、乱雑な動きで首を掻く。髪を整えて、靴を正しに戻る。それ等の身嗜みが整った後、あらためて私の前に正座した。
「強情だね。だから好きなだけ甘やかせるのだけど」
気だるい淀んだ瞳が怪訝に揺れる。話の筋が分からないと言う様に。
「君みたいな子は誰の事も必要としない。どれだけ依存させようとも、きっと心根まで渡す真似はしないだろう」
自分から甘えて来て、満足したら用済みと言わんばかりにその場を去る。飼い猫では無く、野良猫の様に自分だけを依り代として、好きに生きる。そう言う子って誰にも依存しないから、心配しないんだよね。眩ませても、元気にやっていきそうで。
きっとこの子の外側の人格も、それに類するものだろう。媚び売ってる様で自分がある。相手側が利用している様に見えて、利用されてる。
「さぁ。どうでしょうね。性悪だって依存するんですよ。多分」
それからぐらりと首を傾げて、目を大きく見開いた。卑しい娼婦の目だった。
「貴方様には依存しそうですよ」
「遠慮しておくよ」
笑顔でそう返すと、立ち上がった。もう用済みと言うように。
それから数週間、彼女は私の元へ訪れなかった。再度訪れたのは、半年後のこと。
「疲れましたわ。我が君」
人心掌握に長けた上司と、人を手玉に取るのが上手い部下の話。
お互いがお互いに有能であるから、物にして利用したいという思いが所々にあったり、なかったり。
でも依存する方もされる方も、待ってるの破滅なんでこれくらいが良いですよ。録な未来じゃないんで。
これ以上話すと生々しい話が出そうなんで、これくらいに。
でも生々しい話が書きたい。
時折激しくリアルに寄った物が書きたい。
だから好き勝手フラフラしてる人が好きです。
勿論、葛藤とか気を紛らわす為と、いうのも大好きですが。
どっちに転んでも美味しい。放浪癖最高。