15話 それでも…………叫ぶ勇気を…………!!
「こ、こわい……」
この日、ハルスは生まれてはじめて、年相応に弱音を口にした。
いや、そもそも、今のセーラを前にすれば、何歳だろうと気絶必死。
それなのに、脚をガクガクと震わせながらも、意識を失うことなく対峙できるのは、勇者としての資質によるものだろう。
今にもチビリそうな5歳児を前に、セーラは、一欠片の油断もしない。
ハルスは、これまで、数々の困難を、絶望を、知恵と勇気と友情で乗り越えたと謙虚に自負していたが、本物の絶望を前にして、そんな薄っぺらいもんでどうにもならないことを、今まさに悟り中だ。
生まれ持った優れた資質、恵まれた環境で、気づくことなかったが、これこれが、普通の人々、平民たちにとっての日常なのだ。
世界は理不尽であふれかえっている。
森にいくだけで、隣の町に行くだけで、凶悪なモンスターの餌食になる。
貴族のきまぐれ一つで命が消し飛ぶ。
これが世界の真実。
こんな世界で勇気を叫ぶことなんて――――――できるわけがない。
「それでも…………」
グッと奥歯を噛みしめ、
「叫ぶ勇気を…………!!」
前を見据え、叫ぶ!!
「――――――勇者見参!!!!」
ハルスは、目をカッと見開く。
例のルルー●ュポーズで、
「破滅誘う因果。極光煌めく夜空。世界救世の光。
三千世界を見渡し、輝ける明日を掴み取る。
さあ、詠おう。詠おうじゃないか。
神の祝福に包まれし、聖なる剣を掲げながら。
ボクは、ハルス。邪悪を払う一振りの極光!」
そして、喚ぶ。
「オーロラ・エクスカリバー!!」
虚空から現れる煌めく聖なる剣。
サーナを狙った凶刃を弾いた『ホーリー・ダガー』とは別の剣翼。
『どこから』現れたのか、ついさっきまで、ハルスも知らなかった。
だが、なぜか、その名が、その存在が、脳裏に浮んだのだ。
ハルスは、『エクスカリバー』を通じて、三千世界――――――異世界、多次元世界、平行世界、多世界、領域外の領域外、領域外の領域外の領域外………――――――それこそ、何百何千何万何億何兆何京何垓……もの『無限のような有限』の世界にいる『ハルス』たちの『鼓動』を『息遣い』を『悲喜こもごも』を感じつつ、彼らに厚かましいお願いをする。
「ボクに――――――元気を――――――勇気を――――――くれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ハルスの魂の叫びが『ナノスピリット』となり、
一振りの『エクスカリバー』を媒介に、
『フェムトスピリット』に変換され、
三千世界にいる『ハルスたち』に届き、
「「「「「「「「託した!!!!!」」」」」」」」
『生命エネルギー(つまり、元気ハツラツ!)』、『迸るビート(つまり、勇気リンリン!)』が届けられる!!
元気の玉は、エクスカリバーに宿り、『聖剣』となり、
勇気の鼓動は、ハルスの心に宿り、『勇気』となる!!
「元気ハツラツ!! 勇気リンリン100倍!! 『ハルスラッシュ』!!」
日●のごんぶ●並に極太の極光剣をグリムアーツ『ハルスラッシュ』にのせ、セーラめがけて振り降ろす。
「ちょ……え……ぎゃあぁぁぁぁっ!!」
セーラの周りに纏わりついたマシンゴーレ厶の部品が光の奔流に呑み込まれる。
まさかの覚醒シーンからの超必殺技の繰り出し。
さすが勇者!!
えげつない!!
セーラ、ここに、死す……!!
今回の二次創作要素(の一部)を紹介!
・勇者見参
『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!
『ヒーロー見参』にするか迷ったけど二次っちゃいました。
・破滅誘う因果。極光煌めく夜空。世界救世の光……
『原典』には、『鉄心コール』という無茶苦茶恥ずいポエムで魔法とかグリムアーツとかにバフを積む方法がありますが、後述のオーロラ・エクスカリバーを召喚するために口ずさんだ、という補足説明をここでしますね。はい。
・『オーロラ・エクスカリバー』
『原典』には、『サテライト・エクスカリバー・二式』という二振りの剣翼がでてきますが、その内の一振りは、次元の彼方から出現して、それが他の世界のハルスたちと繋がっている、あるいは、素粒子のように、あらゆる世界に遍在している不思議な剣、という二次創作。F●Sの懐園●みたいなものとでもいいましょうか……
・フェムトスピリット
『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!(たぶん)
ナノスピリットよりも細かいところまで届く的な?
・ハルスラッシュ
『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!
勇者王、平熱マン・スラッシュをリスペクトしたのです。
・元気の玉は、エクスカリバーに宿り、『聖剣』となり
DBでいう龍拳的な……
・日●のごんぶ●並に極太の極光剣
普通の太さをどん●衛とした場合のごん●とみたいな……




