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14話 えー…………長らくお待またせしました…………厳正なる審議の結果…………受理しました…………地獄の一丁目にようこそぉ(ニチャア)…………

 


 残り数秒で、ハルスは――――――手を、足を――――――止めた。



「あれー? 諦めたのー?」



 下から覗き見るセーラ。



「ふぅ…………」



 ハルスは深呼吸すると――――――さらにもう一段深く覚悟を決めた。



(コスモゾーンよ――――――燃えているか――――――)



 心のなかでナノスピリットを介し、コスモゾーンに、『とある誓約と制約』を対価に――――――『一分間の命の継続』を要求したのである。




『とある誓約と制約』




 それは――――――『絶死』により魂魄が消滅する前に、無間地獄で責苦を受けるというもの。


 ただ楽に死ぬだけではなく、自らの拷問を受ける、半端ない覚悟。


 齢5歳でその境地に至ることは、普通はできない。


 否。


 ハルスの肩を見れば、微かに震えている。


 ハルスだって人間だもの。


 双子の姉がどうだと言っても、死ぬのは怖いし、死よりも恐ろしい地獄はもっと怖い。


 そんな人間的な怖さを抱くからこそ『制約』になるし、それを受ける覚悟を示すから『誓約』になるし、『高いところから低いところ』、『熱いところから寒いところ』、『秩序から無秩序』、『密から疎』と――――――『世界には意味なんてものはなく、ただあるのは、空』と悟りきった均一で冷たくなるコスモゾーンに『色』をつける『燃料(対価)』になる。


 世界に、コスモゾーンに、覚悟、代償を対価に『本来ならありえない事象』を引き起こすのが、アリア・ギアスであり、その対価をさらに『積んで』、『もっともっとありえない事象』を引き起こすこともできる。


 だが、アリア・ギアスの内、『絶死のアリア・ギアス』は、スペシャルの中のスペシャル。


 一度、対価(命)を支払って、報酬の前借りを受け取った以上、覆すことはできない。




 だが、コスモゾーンだって、単なる無機質で画一的で融通のきかないOSではない。


 絶えずアップデートして、贔屓の『推し』がいて、『ロギアネーム勢』、『プライマルメモリー勢』を『箱推し』してもいいじゃない。


 少し粋な下町のお役所でもいいじゃない。







 //……………………えー…………長らくお待またせしました…………厳正なる審議の結果…………受理しました…………地獄の一丁目にようこそぉ(ニチャア)…………//








 そして、全く、ネーミングセンスないことこの上なしで、すまないのだが…………ハルスは――――――『悶絶死のアリア・ギアス』により、『あと一分だけ』命を燃やし続けることができたのだ。




「はぁぁぁぁ!? もうとっくのとうに『数秒』たってるよね!? なんで、死んでないの!? 依怙贔屓、ズッる!!」


 そう。


 コスモゾーンの審議は揉めに揉め、セーラの体感時間として、『5分くらい』は、かかった気がする。


 もう色々とおかしい。


 何か――――――攻撃を受けているのだろう?


 幽●波とか?




 否。


 断じて、否。


 コスモゾーンにおいて、時間の流れは絶対。


 確かにアルファごとに流れは違うが、『ソウルゲート』や『世界アップデート後のとある会員制のトレーニングルーム』以外は、アルファ内での流れは同じ。


 さらに『体感時間』と『実時間』もまた、原則、同じ。


 セーラは、『加速』や『思考高速お注射』を受けた覚えもないし、ハルスとの彼我の差から、そんな攻撃は無効だ。


 明らかな異常事態に、セーラは、警戒する。




 実はこれにはカラクリがある。


 死ぬ数秒前にハルスは、『都合よく』、『とあるスペシャル』に目覚めていたのだ。


 そのスペシャルとは――――――『ボクが数秒って言ったら数秒なんだよ』という『プラチナスペシャル』


 これは、その名の通りの効果を示す。


 コスモゾーンですら、その影響下にある、まさに、『プラチナスペシャルは格が違った』。

 ただそれだけの話。


 ブルースリースペシャル『まみむめも(効果は、早口言葉になる)』も併用し、ただひたすらに引き伸ばされた『数秒』により、絶死の訪れを誤魔化していたのである。


 そして、『時』が――――――動き出す。


 ハルスが自身の半端ない覚悟と引き換えに手に入れたアディショナルタイム。


 存在値も戦闘力もまだセーラのほうが上だが、双子の弟のあまりの規格違いの成長速度にその表情から余裕はなくなり、仇敵を前にしたかのように睨みつけていた。


 セーラは自身の頭に手を置き、『邪悪なる波動』を流し込む。


「グ……ガアアアアアア……!!」


「…………ッ!?」


 セーラの存在値がさらに上昇する。


 脅威の300から前人未到の600……!!


 中級世界エックスでの、存在値600は、もはや、天帝でさえ、チビるレベルではないのだろうか?


 それほどの反則級のパワーアップをセーラは、果たしたのだった。


 このぶっ壊れ感のある上昇は、たまにモンスターが『壊れ堕ちる』のに似ていた。


『壊れ堕ちた』モンスターは、例外なく、死ぬまで破壊衝動に囚われるが、セーラもまた、抑えきれない『破壊衝動』に目の前の弟、姉たちをズタズタのボロボロにしたくなるが、なんとか、なだめる。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 さすがのハルスもありえない双子の姉を前にして、汗だらだら、奥歯ガチガチ、脚ガクガク、目キョロキョロ、魂が半分抜けかけていた。


 ハルスが世界に示した覚悟を吹き飛ばすほどの絶対的な絶望が立ち塞がっているのだ。 



 残念ながら、ここから逆転の一手はない。


 助けも来ない。


 つまり――――――ハルス、死す。








今回の二次創作要素(の一部)を紹介!



 ・『悶絶死のアリア・ギアス』

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!


 ・プラチナスペシャル『ボクが数秒って言ったら数秒なんだよ』

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!

 F魔法『俺がシャツって言ったらシャツなんだよ』は、ありますがそれはあくまで自己暗示?


・ブルースリースペシャル『まみむめも』

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!

 殿下「まみむめも」

 舞散「興味ないね」

 殿下「だったら壁にでも話してろよ、でちゅ」


 ・中級世界エックスでの、存在値600は、もはや、天帝でさえ、チビるレベルではないのだろうか?

 ドジっ娘メイド「失礼ですね……チ、チビらないですぅ……!!」

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