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9話 チッ……この泣き虫め。仕方ないな……お姉ちゃんが一緒に行ってやんよ

グロ注意!!


修正とか追記しまくり〜

 

「あ〜も〜ホントにアミ王女がぐいぐい来まくってウザイのなんのって……こっちはまだ5歳児だっての!」


 王子姿のセーラが愚痴をこぼす。


「あはは……ご愁傷さま……」


 ハルスはお姫様姿で引き攣った笑みを浮かべ、双子の姉をねぎらう。


「それもこれもハルスのせいなんだからなっ!」


 ビシッと指差すセーラ。


 今から2年前、カル帝国には水面下でカル帝国民が他国民より偉いとする選民思想、軍拡主義が広がりかけていた。


 穏健派が擁立するアミフェユ第一王女が過激派の手によってあわや惨殺される寸前に、それを察知したハルス率いる六大連合精鋭チームにより救われたのだ。


 ハルスの予想では、もしこのままアミ王女が殺害された場合、過激派が擁立するミアリク第一王子が現国王を害し王位簒奪、選民思想による他国侵略化が勃発し、その矛先がまず向けられるのは、人外の亜人、魔族たちの国、魔王国だ。


 カル帝国と魔王国がぶつかれば、種族的に人間より存在値の高い者が多い魔王国に分がある。


 なにせ存在値の高いだけで圧倒的な物量差をひっくり返すことができるのがこの世界の常識だ。

 いかに存在値の高い者を戦場に配置できるかが勝敗を決するのだ。


 これにより、カル帝国が瓦解し、魔王国の台頭により、世界は、人類VS人外の争いが増え、最終的にいきつつくのは、勇者VS魔王。


 幼女魔王リーンは、平和主義者と聞くが、日和見主義なところがあり、その参謀のラムドは召喚しか目がないため、ガイリュー、ショデヒあたりに人類圏との争いを唆されるのがハルスの予測だ。


 実はこの功績により、ハルスは、『天国』と呼ばれるこの世界を裏で守護し支配する裏番付のトップの組織に目をつけられる。


 天国はこの世界の運営に関し、自身を立法として位置づけ、その直属の精霊国フーマーを直接各国に働きかける行政を担わせ、各国の紛争の調停者としてカル帝国を司法とする予定であったが、何者がカル帝国に選民思想を植え付け、世界運営機構に不和が生じかけた。


 カル帝国暴走の予兆を天国が察知した時には、ハルスが解決すべく各国に働きかけ、精霊国フーマーですらいっとき万年弱小国のセファイル王国の指揮下に入ったのは、天国からの指示であり、ハルスを見極めるためであった。


 実はその裏では、6大連合では太刀打ちできない『真の黒幕』を『天国勢』が撃退していたのだが、そのことにハルス含め誰一人気づかなかったりしている。


 とまれ、ハルスのおかげで、アミ王女の命は救われ、カル帝国に選民思想が広がるのも食い止められ、それからというものアミ王女はハルスに首ったけという状況である。


「えーと……そろそろシーハお姉様のところにいきませんか?」


 シーハ第2王女から『鑑賞会』の誘いをセーラ、ハルスともに受けており、これから始まるのだ。


「そんなに行きたいならハルス、お前だけいけよ。あ、『セーラ』としてな。『ハルス』はちょっと用事があっていけないから別の日に行くって伝えればいいぞ。その別の日は、ハルスが行くっことで」


「セーラお姉様ぁ…………」


 ハルスは目を潤ませて、上目遣いで双子の姉を見つめる。

 もしもセーラ以外がそれを目にしたら一生ハルスの虜になっていただろう。

 それほどハルスのプラチナスペシャル『九十九十九(外されたサングラス)』は強力無比なのだ。


 だが、双子の姉のセーラには全く効かなかった。


 効かなかったのだが、完璧超人といえどもその姿は5歳児のそれであり、彼女の弟であったので、


「チッ……この泣き虫め。仕方ないな……お姉ちゃんが一緒に行ってやんよ」


 と、セーラは手を伸ばし、それをパァッと表情を輝かせてハルスが掴む光景は、傍から見れば、兄が妹をなだめすかしているようにしか見えなかった。








「あれ?いない?」


 心持ち胸をそらして、ハルスと手を握って、シーハの部屋に来たのだが、もぬけの殻だった。


 とはいえ、至る所に蝉の抜け殻があり、壺が所狭しと置いてあった。


「窓が開いてるな? ん? なんだあれは?」


 セーラが指差した先にはなにかヒラヒラとしたものが窓に引っかかっていた。


 窓に近づこうとするセーラ。


「セ、セーラお姉様……だ、ダメです……」


 ハルスは入り口から一歩を脚を踏み入れたところで顔から汗をダラダラと垂らしながら、顔を青ざめさせていた。


「ん? 何がダメなんだ?」


 セーラはずんずんと部屋の奥に進み、窓に引っかかったそのヒラヒラするものを手に取り、







「…………は? 皮?」




 それは病的なまでの白さだった。


 そう。


 まるで、部屋で虫ばっかり鑑賞して日光に当たらない不健康な第2王女の肌のような色だった。




 ぴちゃ……




 風に煽られたのか、外から液体がセーラの頬につく。



 触ってみると……



 真っ赤っ赤、だった。





 セーラは窓から身を乗り出して……








 上を見ると……







「……………………………げぇ」





 嘔吐し、窓から落ちた。





「ッ!? セーラお姉様!!」




 ビューンとハルスは床を蹴って高速移動し、窓から飛び出し、姉を抱きしめると、





「舞空、ランク3」




 ふわりと重力に反し、ゆっくりと地面に降り立つ。



 そして、ハルスは見てしまった。





 ソレは、背中に巨大な透明な羽が生えていた。





 ソレはまるで、蝉が孵化したばかりのオブジェに見えた。





 ソレは――――――尖塔に磔にされた、推定年齢10歳と思しき全身の皮が剥がされた少女の猟奇的惨殺死体だった。










 今回の二次創作要素(の一部)を紹介!



 ・アミフェユ第一王女

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!


 ・ミアリク第一王子

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!


 ・ランク魔法『舞空』

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!

 ランクが高いと自由に空を飛べます。

 『原典』には空を飛べる魔法って出てきたっけ?


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