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「御無沙汰しております、エルドラ様」
「まさか其方が来るとはな。もう三年になるか・・・ドノバンは壮健か?」
「はい。お陰様で両親共に壮健に御座います。本日は父の名代として参りました。先ずは此方をお読み頂けたらと」
「ふむ・・・・・フゥ・・・トーランよ、ドノバンの奴、本気か?」
「はい。本件に関しましては家族のみならず家臣一同の総意に御座います。父上は三年前の一件からずっと頭を悩ませておりましたから」
「そうか・・・奴も腹を括ったと言う訳か・・・・・」
「無論陛下や大臣方の出方にもよりますし、バレリー家がどちらを選ばれてもルクサイア家はバレリー家の意向に沿う所存に御座います」
「・・・・・ヒギンス!妻と子供達を会議室に呼べ!ボーロはマルス殿を連れて参るのだ!良いな!」
「は、はい!」
「ハッ!」
「トーランよ、ここでは狭い故場所を移動するぞ」
「はい」
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「お~い、ジン。ちょっといいか?」
転移陣を設置するにあたって相談しておかないととジンの家にやって来た。
「ん?なんだ、こないだ来たばかりなのにもう来たのかよ。如何した?」
「ちょっと相談と言うか頼みが有ってな、二人きりで話せないか?」
「いいぜ、入んな」
「サンキュー・・・って何だあのちっこいのは。こないだ来た時は居なかっただろ?」
訓練している人達の中に小さな女の子が居て驚いた。見た目五歳前後の女の子が武術?しかもライラ・・・じゃなかった、鈴華が直接教えてんのかよ。
「ああ、あの子はオクタヴィスの、レスターの孫だ」
「へ~レスターの・・・嬢ちゃん、俺はジンの友人のパンドラってんだ、宜しくな」
レスターとは何度か会ってるし、武闘派一家とか聞いていたから納得した。まぁあいつの孫ならと近寄って行き、屈んで頭をなでながら挨拶をしたら
「ぁ・・・・・こちらこそ・・・よろしくおねがいしますぅ~・・・・・」
「うぉっ?!なんだなんだ?如何した嬢ちゃん?!俺が何かしたか?」
何故か泣きだして抱き付かれた。
「如何したの?!大丈夫、イリスちゃん?!」
「お、おい、イリス如何した?」
「・・・・・ぅ・・・あ、も、もうしわけ・・・ありませんでした・・・・・その、イリス・オクタヴィスともうします。いごおみしりおきを・・・・・」
「お、おう。何か知らんけど大丈夫か?」
「は、はい、だいじょうぶです・・・たいへんしつれいしました・・・・・」
「・・・・・パンドラ、入んな。鈴華、後は頼む」
「はい、父様」
何だか訳が解らんがジンの後に付いて家の中に入った。取り敢えず用事は済ませとかないとな。
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午後の訓練を開始して直ぐにボーロさんがやって来て、領主様が僕を呼んでいると言うので館へと戻った。
お客様が来ている筈だし僕を紹介するとかかな?なんて思いながらボーロさんに付いて館の中を進んで行くと入った事の無い部屋に通された。
「御館様、指南役をお連れしました」
「うむ、入れ」
「マルス様、どうぞお入り下さい」
「はい、失礼します」
ボーロさんに促されて入った広い部屋の中には見た事の無い人と領主様御一家が揃っていて、何だか妙な緊張感が室内に漂っていた。
「お初にお目に掛ります。衛士隊指南役を務めておりますマルス・ガーランドと申します」
「私はルクサイア子爵領次期当主のトーラン・ルクサイアと申します。以後お見知りおきを」
え、次期当主が直接来るなんて余程の事だよね?何が有ったんだろう。
「取り敢えず空いている席に着いてくれ、マルス殿」
何が起こっているのか訳が解らず、取り敢えずお客様に挨拶をすると領主様に席に着くように言われて空いている席に座った。隣の領地で問題でも起こったのかな?早くも盗賊の被害が出たとかかな?衛士を送る事も考慮するとか言ってたし。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




