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直ぐにでも会いたいと言うディアナさんとミネルバさんに、領地持ちの伯爵と言う立場的に向こうに連れて行く訳には行かないので近い内に必ず連れて来ると言って宥めた。
「そ、そっか・・・迷惑かける訳に行かないもんな・・・・・」
「・・・仕方ありませんね・・・・・」
「済みません・・・それでですね、フォルマ姉さんが結婚しましたし、こっちへの行き来にフォルマ姉さんの家を出入りするのもなんですので師匠の家の方にも転移陣を作って欲しいのですけど―――」
「はぁ?!フォルマが結婚?!何の冗談だよそれ?!」
「あれ?知らなかったんですか?つい最近なんですけどベルさんと結婚して一緒に住んでるんですけど」
「・・・・・有り得ねぇ・・・あいつが結婚?ハンス以外の男と?・・・・・何か裏が有るな・・・相手がベルフォードだと偽装の可能性も有る・・・だが一体何の目的で・・・・・」
「いや、偽装って・・・・・そりゃあ僕も信じられなかったですけど、なんて言うかいい感じでとても何か企んでるようには見えませんでしたし、素直に祝福してあげましょうよ」
「ん~・・・まぁいいか。転移陣の方はジンの所に相談に行くとして、お前は如何すんだ?ジンの所から通うのか?」
「いえ、住居兼道場を立てる事になっているので出来たらそちらにも転移陣を造って貰えたらと」
「解った。家が完成したら何時でも来な」
「有難う御座います。それじゃ他にも寄る所が有るので失礼します」
さて、ノルドの町に行く前にシライ君の所にも行っとこうかな。
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「・・・・・ふむ・・・なにっ!ロードルデルフの王都が消滅しただと!」
「は?消滅?陛下、それは一体・・・・・」
「バレリーからの報告書なのだが、先日の光の柱は邪神が発した物で、ロードルデルフの王都を破壊したのだそうだ。邪神の方は聖地を狙った為に使徒殿が迎え撃ち、創造神様が滅せられたと書いてある」
「それは真実なので?いえ、何故それがバレリー殿から知らされたのか気になるのですが・・・・・」
「バレリーの奴、使徒殿の弟子と親交があったようだ。何でも武術指南役として領地に雇い入れた事と、ロードルデルフ側の国境の警戒と兵力の強化を進言してきおった」
「またですか・・・バレリー殿は少々好戦的過ぎかと思われますが」
「領兵を使徒殿の所に送り更にその弟子を迎え入れるとは・・・いよいよ謀反の疑いが強くなってきましたぞ、陛下」
「だが明確な証拠は何一つ無いのも事実だ。あの呪われた土地を再生し、一大穀倉地とした功績を無かった事には出来ん」
「では、税を上げては如何ですか?貯め込む余裕さえ無ければ馬鹿な真似も出来ぬでしょう」
「ふむ・・・それも考慮しよう。だが、先ずは使徒殿の弟子とやらを奴から離さねばならん。このマルス・ガーランドに召集を掛けよ、こちらに付かぬと言うならば反逆罪として捕え使徒殿にもその責を問う」
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転移でノルドの東門近くに飛んだ。なんとなく初めてこの町に来た時と同じようにここから入りたかったんだ。
「あ・・・マルスさん!おい!みんな!マルスさんだ!マルスさんが御出でになったぞ!!」
東門の上に居た衛士が僕に気付いて大声を上げた。覚えていてくれて嬉しい反面ちょっと恥ずかしかった。
「「「「「ようこそノルドの町へ!我等が英雄よ!!」」」」」
「いや、ちょっと恥ずかしいので大袈裟に出迎えないで貰えますか?」
「いやいや、この町を救った英雄に礼を尽くさない訳にはいきません。ささ、どうぞお入り下さい」
「おい!誰かブルートに知らせてこい!!後、アイン隊長にもだ!!」
「「ハッ!!」」
衛士達に囲まれて町の中を進むと大勢の人が声を掛けてくれた。結構前の事なのに覚えていてくれるのは有り難いけどやっぱり恥ずかしいなぁ。
「いらっしゃいマルスさん!!」
「ノルドの英雄バンザーイ!!」
そのまま衛士達の先導でブルートさんの宿屋に着くと看板が『神様の別荘亭』に変わっていた・・・いや、別にいいんだけどね・・・・・
「マルス!良く来てくれたなあ!!」
「おお?少し背が伸びたんじゃねぇの?」
「少しかっこよくなってる!」
「ほら!座って座って!」
出迎えてくれたブルートさん達に揉みくちゃにされながら席に座らされた。以前と同じように接してくれた事がとても嬉しかった。パンドラさんの正体ばれちゃってるから変に畏まったりされるかと思ったけど、そんな事無くてよかった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




