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日の出と共に目が覚めて隣で眠るスズちゃんを起こして二人で部屋を出た。
「おはようイリスちゃん」
「おはようございます、マルスさま」
廊下を歩きスズちゃんを部屋まで送ると、正面の扉が開いてイリスちゃんが出てきた。五歳とか言ってたけど早起き出来るなんて凄いな、流石転生者。
「スズちゃん、先に行ってるよ」
「え~・・・ちょっと待って~・・・・・」
「はいはい」
「あの・・・おふたりはなかがよろしいのですね・・・・・」
「ん?まぁそうだね」
「わたしもおふたりのようになりたいです・・・・・」
「ん?もう既に婚約者が居るって事?」
「いえ・・・そうではないですけど・・・・・うらやましいというか・・・・・」
う~ん、小さくても女の子って事かな?それとも前世に関係あるのかな?
「おまたせ。あ、イリスちゃんおはよう」
「おはようございます、スズカさま」
「じゃ、行こうか」
三人で階段を下りて食堂に入ると、既に朝食の準備が出来ていて師匠とマリーさんが席に着いていた。
「おはよう御座います」
「おはよう、父様、母様」
「おはようございます」
「おう」
「おはよう」
朝の挨拶を交わし朝食を摂る。師匠の機嫌も治っているみたいで良かった。
「それじゃ行ってきます」
「おう」
「いってらっしゃいマルス君。明日は早く帰って来てね」
「うん。出来るだけ早く帰って来るよ」
朝食後に少しだけ訓練を眺めてからフォルマ姉さんの所へ向かうと、丁度ベルさんとフォルマ姉さんが出て来る所だった。
「おはよう御座います」
「あら、マルス君おはよう。あたしは仕事だから、それじゃね」
「はい、行ってらっしゃい」
「いってらっしゃ~い。で、如何したマルス」
「転移陣をお借りしたくて来たんですけど、入ってもいいですか?」
「ああ、構わねぇぜ・・・・・ん~、これから頻繁にこう言う事が有るならパンドラにジンの所にも転移陣造らせるか」
「それでしたら僕の方から頼んでおきますよ。主に使うのは僕の両親・・・と言うか母でしょうし」
「ははは・・・頼むわ」
フォルマ姉さんにベルさんの事を聞こうかと思ったがやめておいた。隠しているんだとしたら話してはくれないだろうし、なによりベルさん、ハンスさんに何か考えが有るんだと思うし。
「こんにちわ~」
「お、マルスじゃん」
「いらっしゃい、マルスさん」
「どうも。パンドラさんは居ます?出来れば話がしたいんですけど」
「奥で仕事してるからどうかな?」
「聞いてきますから少し待ってて」
「はい、お願いします」
「・・・・・なあ、お前とスズカがケント兄ちゃんとライラ姉ちゃんの生まれ変わりって聞いたんだけど本当か?」
ミネルバさんが奥へと向かうとディアナさんが僕が本当に転生者かどうか聞いてきた。まぁ、普通は転生したって言われても信じられないよね。
「ええ。信じられないのでしたら、お二人が小さかった頃の話でもしましょうか?」
「いや、いいよ~。一応確認したかっただけだからさ」
「マルスさん、お兄様がお会いになるそうです。奥へどうぞ」
「有難う御座います。それじゃお邪魔しますね」
この二人は他の精神生命体とは少し変わってるんだよな。なんて言うか感情豊かと言うか『人間』臭い所が有るんだよね。やっぱりパンドラさんの影響なのかな?他の精神生命体と違って幼少期が有るからかもしれないな。
「おはよう御座います。すみません、忙しい所に」
「いや、構わねぇよ。この星に移動したばかりだから万が一に備えてモニタリングしてただけだしな。で、話ってなんだ?」
「はい。スズちゃんと正式に婚約したのと、向こうで職に就いたのでその報告を」
「そうか・・・まぁ、おめでとうと言っとくわ。で、ジンの奴に殴られたか?」
「いえ、覚悟してたんですけどあっさり認めてくれました。それとですね、僕が仕える事になった領主様がパンドラさんにお会いしたいと」
「あん?ジンじゃなくて俺に?なんで・・・・・まさか、転生者か?」
「はい。僕の主君となるエルドラ・バレリー様はアスタル陛下の生まれ変わりでした」
「ま、マジかよ・・・・・」
僕の言葉にパンドラさんが驚きの声を上げるとほぼ同時に背後のドアが開いてディアナさんとミネルバさんが持っていたお茶とお菓子の乗っていたトレイを落とした。
「うそ・・・お爺様が生まれ変わって・・・・・」
「おいマルス!それ本当か?!本当にアスタル爺ちゃんなんだな!!」
「はい。本人からアスタル・ベルトラムだと聞きましたし、僕の事をレイル・ガーランドの子孫と呼びましたから間違いありません」
「そうか・・・アスタルが・・・・・」
喜びの声を上げ燥ぐミネルバさんとディアナさんとは対照的に浮かない顔をするパンドラさんの事が少し気になった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




