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 収穫祭三日目。午後に商業組合へ行くので午前中はお嬢様と収穫祭を見て回り、昼食を摂ってからそのまま組合へと行った。


 幾つかの物件を見て回り、領主館に近い東側の土地に住居件道場を建てて貰う事に。既に家が建っているので解体やら何やらで完成まで二ヶ月位掛かると言われ、宜しくお願いしますと言って前金を手持ちの魔物で支払っておいた。


 明日は師匠の所に帰って報告と、戻れるならパンドラ国の両親の所にも報告に行くつもりだ。跡取りの僕が〝家〟を出る事を両親は如何思うだろうか・・・・・


*


*


*


「久しぶりだな、アイリーン。レスターと旦那は元気か?」


「はい、お陰様で」


「そりゃ何よりだ。で、そっちの子は娘のイリスだったか?随分と大きくなったじゃねぇか」


「あらためまして、イリス・オクタヴィスともうします。ほんじつはジンさまにごあいさつとおねがいがあってまいりました」


「ほ~、俺に改まって頼みが有ると・・・なんだ?言ってみな」


「わたくしにジンさまのみわざをさずけていたただきたくぞんじます」


「・・・・・アイリーン、これはレスターの差し金か?」


「いえ、この子は誰に言われるでもなく三歳から身体を鍛え始めたのです。ジン様から領兵に御教授頂いたマキシマ流護身術の型も既に習得しております。本人の希望でも有りますし、何より親としてこの子の才能を可能な限り伸ばしてあげたいと思いまして連れて参りました」


「ふ~ん・・・イリス、今幾つだ?確か四歳か五歳だったよな?」


「せんげつ五さいになったところにございます」


「そうか・・・イリス、お前が〝力〟を欲する理由はなんだ?その歳で型を覚えたなら続けて行くだけでも十分な強さを得る筈だ。お前がそれ以上を望む理由って奴を聞かせてくれるか?」


「・・・・・いただきをめざすことにりゆうなどひつようではないかと。けしてあくようしないとそうぞうしんさまにちかいます、どうかわたしにちからをさずけてください」


「ふむ・・・・・まぁ、いいか。真羅流を教えるかどうかはお前次第だイリス。アイリーン、暫くうちで預かる。モノになるなら俺の弟子にしてやる。当面は・・・鈴華!この子をお前に預ける!取り敢えず皆伝取れるまで手加減無しで鍛えてやれ!」


「はい、父様。イリスちゃん宜しくね」


「こちらこそよろしくおねがいいたします、スズカさま」


*


*


*


「そうか、館の東側に決まったか」


「はい。明日は一旦帰って師匠に報告をと思っています。指導の方は明後日からと言う事で宜しいでしょうか?」


「私はそれでも構わんが・・・トンボ帰りでは使徒殿にも失礼であろうし、何が有るか解らん。三日の猶予を与えるので各所に挨拶を済ませておくと良い」


 夕食の席で明日からの予定を報告すると領主様が気を効かせてくれた。


「有難う御座います。用事を済ませ次第戻って参ります」


「・・・ふぅ・・・・・其方は真面目過ぎる。これは以前も言った事だが常に余裕を持て。張り詰めた糸は切れ易いと言う諺を聞いた事は無いか?急いては事を仕損じると言う格言も有るのだぞ。其方には何か焦りを感じる。良いか、これは命令だ、明日より三日間はこの地に戻る事は許さん。私の言った事を噛みしめ、良く考えて今後を、未来を見据えるのだ」


「ぁ・・・は、はい・・・・・申し訳ありませんでした。お言葉に甘えて三日間お休みさせて頂きます」


 焦っていると言われて気が付いた。怖いんだ、師匠が衰えてしまう事が。最強の男が最強で居られる内に戦い、そして勝利したいと言う欲求が無意識の内に僕の心の余裕を失わせていたんだ。


 僕は領主様の言葉に素直に頷いて三日間の休みを貰い、スズちゃんの待つ師匠の家に向かう事にした。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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