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「クックックッ・・・この名を知っているようで何よりだ。あれから・・・わしが亡くなってから何年位経ったか解るなら教えて欲しいのじゃが・・・・・」
「ハッ!し、失礼しました陛下!陛下が亡くなられてから約五百年程経っております」
驚き過ぎて呆然としていた僕は我に返ると直ぐに席を立って床に膝ま付いた。
「よい。前世の事であるし、隠居もしておったしのう。そう畏まらんで席に座れ。わしとしても今まで通りに接して貰える方が嬉しいのだ・・・しかし、五百年か・・・見知った者はもう殆ど居らんのだろうな・・・・・」
「パンドラさん以外ですと、ミネルバとディアナ、後はフォルマ様位でしょうか・・・・・そ、その・・・私も転生者なのです陛下。私の前世の名はケント・ガーランド、そして婚約者のスズカはライラに御座います」
「なん、だと・・・クックックッ・・・ハハハハハ!そうか!其方等も生まれ変わっておったか!しかも今世でも夫婦になるとはな!ハハハハハ!!」
「私は運命の神の存在を感じました・・・・・」
「確かにな・・・それで、我が愚息のライオネルはどうなった?パンドラ殿に制裁を食らったのではないか?」
「そ、その・・・・・」
答え難い事を聞かれて口籠ったが、答えない訳にもいかずにアスタル陛下が亡くなった後のベルトラン王国や他の国の事。そして、今現在パンドラ大陸以外無くなってしまった事まで、僕が知っている事を包み隠さずに全て話した。
「そうか・・・ライオネルの事はまあ良い。あ奴はそれだけの事をしたのだからな・・・それで、パンドラ殿にお会いする事は出来るか?」
「それも何とも言えません・・・場所を移動してしていた場合に転移で飛べるか解らないのです」
「仕方ないか・・・では、後日フォルマ殿に確認を取って貰えると有難い。わしは陛下に報告書でも書いてから寝るとしよう」
「はい」
話は終わりだと、陛下・・・じゃなくて領主様が立ち上がり、部屋を出て行く後に付いて僕も応接室を出て自室へと向かった。
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「・・・・・お父様、お母様・・・・・あの、私が気持ち悪くないのですか?」
「何故?自分がお腹を痛めて生んだ娘が気持ち悪い訳がないでしょう?」
「セリーヌ・・・ジンも言っていたではないか。前世は如何在れ今は私達の娘なのだから其方を私達が嫌うような事は無い」
「でも・・・・・私は生まれた時から前世の記憶を持っていて・・・ずっと子供の振りをして・・・・・」
「そうする必要が有ったのでしょう?私達には解らない何かが」
「嘘には悪い嘘と良い嘘が有る。私は国を、世界を守るための一助を担った娘を誇らしく思っているのだ。だから案ずるな」
「・・・有難う御座います・・・・・お父様、お母様」
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「ん?何だこの本・・・・・」
客室に戻った僕は魔力操作の訓練をしながら本を読もうと本棚の前に立ち、読み掛けの本を手に取ろうとした時に二冊隣の奇妙な本に気が付いた。
革で装飾の施された高価そうな書籍の中に質素な紙だけで作られた本が一冊だけ並んでいる。背表紙には何も書かれていない赤茶けた本が。
「何で今まで気が付かなかった?ここへ来た初日から毎日のようにこの本棚を見ていたのに・・・・・」
他の物よりも薄いその本を手に取ってみたが表紙にも何も書かれていない。
『私が私を私として最初に認識したのは何時だっただろうか』
表紙を捲って一ページ目に掛れていた冒頭の一文を読んで哲学書かと思った。
『確か一度目の生は小さな商店を営む両親を持つ町娘だった筈だ』
だが違った。
「・・・・・一度目?って事は著者も転生者か?」
転生者って意外と居るもんなんだなぁと、取り敢えず読んでみれば解る筈だと魔力操作の訓練もそっちのけで夕食に呼ばれるまで題名すら無いこの本を読み耽った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




