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ボーロさんは直ぐに戻って来て領主様がお会いになると言われて応接室に通された。ボーロさん走らなくてもいいのに・・・なんか悪いなぁ。
「そうか・・・ロードルデルフが・・・・・」
「はい。残念ですが、王都は消滅したそうです」
僕からの報告を聞いて領主様は悲痛な顔をして呟いたが、直ぐに真剣な顔に戻り領主として、施政者として如何すべきなのかを考え始めた。
「これは暫く荒れるな・・・・・国境沿いの領地に夜盗の警戒をする旨を伝えねば・・・また要らぬ誤解を受けそうだが、兵を送る事も検討せねばならん」
「その・・・・・国境の領地なのに兵士が足りていないのですか?」
「兵は金が掛かるからな・・・隣では軍隊と呼べる程の兵を雇えぬのだ。練度もうち程では無いし・・・何より戦事態をを否定しておるのだ・・・・・攻め込まれてからでは遅いと言うのに・・・・・」
「国王陛下は如何お考えなのです?防衛の大切さは解っておいでなのでしょうか?」
「我が国は先日話した時代以降攻め込まれておらんのだ。故にこの国は安全だと、外交で戦争は防げると勘違いしている者も少なくない」
「・・・・・う~ん・・・『創造神様がお守りして下さるのはメルクリウス聖皇国だけだ』と進言してみては如何でしょうか?」
「ふむ・・・それは悪くないな。だが、兵を増やすには予算がと言われてしまえばそれまでであろう?」
「当面は兵力の強化で補いましょう。先日断っておいてなんですが、僕を雇って頂けませんか?」
「お・・・おお!なんと!我が領地に来て下さるのか!!喜んで迎え入れようぞ!!」
「有難う御座います。断られたら如何しようかと思ってました」
お嬢様との事も有るし、今更虫の良い事言うなとか言われたら如何しようかと思ったよ。
「断るなど有り得ん。それより何時からが良い?役職は衛士隊武術指南役で良いか?何なら娘も付けるぞ」
「役職は何でも良いですが、お嬢様はちょっと・・・師匠に拷問されますので・・・・・」
「お、と言う事は使徒殿のお嬢様と婚約でもしたか?其方と血縁関係になれんのは残念だが欲をかき過ぎて逃げられては元も子もないので諦めるとしよう」
「助かります。それで、この街に住居を構えたいのですが、土地や建物の売買は商業組合の方でしょうか?」
そもそも売ってるのかも知らないんだよなぁ。出来れば師匠の家みたいに広い庭と道場も欲しいんだけど。
「我が国では土地の売買は行っておらんのだ。小国故、他国の者に買い占められるような事が有れば―――」
「乗っ取られかねない、ですか・・・・・」
「そう言う事だ。何処かこの館の近くに用意させよう、どれ位の広さが必要なのだ?」
「住居自体は五人も住めればいいのですが、屋内と屋外で十人前後が訓練出来る位の広さは欲しいのです」
「なんだ、その程度で良いのか?それだと来客時に困るのではないか?」
「え?来客?僕にですか?」
「其方は自分の立場をきちんと理解した方が良い。使徒殿の弟子と言うだけでも引く手数多な上に、その娘と婚約したのだ。世間的には使徒殿の全てを受け継ぐ存在と言う認識になるのだぞ。正直我が領地に留めて置く事が出来るか不安な程だ」
「で、でも、師匠の家に貴族の方が押しかけて来た事なんて有りませんでしたよ?」
「我が領兵の訓練は順番待ちで五年掛かっておる。訓練の申し込みで、だ。其方が知らぬだけで、第二夫人や妾に使用人の申し込みが絶えず来ておったのではないのか?お嬢様への縁談に至っては以前よりも増えていてもおかしくは無いぞ」
「・・・・・」
知らなかった・・・師匠は何時も僕達に日の出から日の入りまで指導をして、その後に手紙の返事を出したりしていたのだろうか・・・・・って言うか、それを僕もやる事になるのか・・・・・
それでも前世の記憶とは関係なくスズちゃんと結婚したいし。その為ならば多少の面倒事なんてなんて事無いさとこの時は軽く考えていた。のは間違いだったのは言うまでも無い・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




