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 息を荒げ、大の字に寝転んで天井を見上げた。


「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・有難う御座いました・・・・・」


「おう、お疲れさん」


 師匠との話を終えて『晩飯まで時間も有るし、ひと汗かくか』と言う師匠と道場で軽く手合わせをする筈だった。実際、魔力及び『朧』の使用不可と言う条件だし師匠からしたら〝軽く〟だったんだろう。


『そういやさっき少し見たが、見た事の無い面白い剣術だったな。ちょっと俺に使ってみな、マルスと同時で構わねぇから』


 と言われて参加する事になったスズちゃんは開始直後に転がされて伸びてしまった。前世の僕が一度も勝つ事の出来なかったライラの剣術に槇嶋流護身術を加えたその技も、師匠に『粗いな』と言われて全く歯が立たなかった。正直こっちが本命の罰なんじゃないかと思った程だ。


 スズちゃんを抱き抱えて道場を去る師匠を横目で見ながら考えていた。


 足りない。リーチも、スタミナも足りていない。師匠はスピードとパワーは僕の方が上だと言うが完全に封殺された。一番足りていないのは経験、熟練度だと思い知らされた。


 そして一番重要なのは修行する場所は関係無いと言う事だ。師匠から教わった事を唯々愚直に続けて練度を上げて行く。新しい技なんて編み出す必要はなかったんだ。


 何処であろうとも、この目に焼き付けた師匠を相手にイメージトレーニングを続け、現実との誤差を失くすために偶に直接手合わせをする。これが最善且つ最短なのだと結論を出した。


 何しろ師匠は武術においては神に等しい〝力〟を持っているのだから。


*


*


*


「ミネルバ、ディアナ、戻ったぞ」


「お帰りなさいませ、お兄様」

「兄ちゃんお帰り!」


「悪かったな、二人に任せっきりで。後は変わるから少し休むといい」


「私達なら大丈夫です。他の方々も手伝って下さいましたし」

「そうだぞ、あたしらは大丈夫だから兄ちゃんこそ休んでくれよ、一仕事してきたんだろ?」


「・・・・・そうか・・・ああ、ジン達の星に移住する事にしたから通達を出しといてくれ・・・俺は少し休む」


「解りました」

「任せといてよ兄ちゃん」


「ああ・・・有難う二人とも」


*


*


*


「つー訳で、鈴華とマルスは婚約したから」


 久しぶりに僕が来たと言う事でライエルさんの家で夕食をと言う事になったんだけど、食事の前に師匠が僕とスズちゃんの婚約を発表した。


「「「「「えっ?!」」」」」


「来年の夏にマルスが成人するから結婚するのはその後だけどな」


「そ、そうなんだ・・・おめでとうマルス君、スズカちゃん」


「二人ともおめでとう。なんか面倒事も有ったけど慶事が続くと安心するな」


「有難う御座いま・・・・・え?他に何か目出度い事が有ったんですか?」


「ああ、お前は知らなかったか、ベルとフォルマが結婚したんだよ、ベルは今フォルマん所で一緒に住んでる」


「・・・・・はあっ?!ベルさんとフォルマ姉さんが結婚?!何の冗談ですそれ?!」


「冗談じゃねぇよ。そんなに驚く事か?いや、俺達も驚いたけど」


「いや、だってフォルマ姉さんは『あたいが本気で惚れた男は唯一人だ。他の男と結婚なんてしねぇ』って・・・・・」


「まぁ、ベルにそれだけの魅力があったって事だろ。二人で飲み明かす程度には仲良かったしな」


 何だろう、何か気になる・・・あのフォルマ姉さんがハンスさん以外の人を好きになる?そんなの有り得な―――


「ああっ!ひょっとして・・・・・」


「ん?如何したマルス?」


「あ~・・・い、いえ、確認が取れたら話すので今はちょっと話せないかなぁ・・・はは、ははははは・・・・・」


「確認?」


「あ~・・・そうだ、ライエルさんに頼みたい事が有るんですけど」


「ん?俺に頼み?」


「ええ、お世話になる領主様がライエルさんの料理を食べてみたいと言われまして、好物のタイラントボアで何点か作って貰えませんか?」


「ふぅ~ん・・・タイラントボアで、か・・・そいつは腕が鳴るな」


 僕とライラが転生してたんだし、他の人が転生してたっておかしくないと気が付いた。見た目が余りにも違い過ぎて気が付かなかったけど、ベルさんがハンスさんの生まれ変わりで何か理由が有って隠してるのかもしれない・・・・・隠す理由・・・パンドラさんに扱き使われるのが嫌だとか?それは無いか・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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