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07

「お、おい!坊主!危ねぇぞ!戻って来い!!」

「って、早えぇ!何だあいつ?!」


「俺の事は良いからあんた等は北門守ってろ!!」


 冒険者達の制止の声を振り切って、先ずは撹乱している狼からだと散り散りに走り回っている奴らを追い掛けた。


「ガアアァァァ!!」

「ガウ!ガウ!」


「甘いんだよ!!」


「ギャイン!!」


 取り囲むように回り込んで来る狼達を軽くあしらい殴り倒して行く。門の方を横目で確認すると蟻の退治も終わりそうだった。残り三匹の狼が森へと退いて行くと同時に猪と熊が森から出て来た。


「鋒矢陣?!マジで北門一点突破狙いかよ!!」


 突破力のある猪を矢じりのように配置し、その後ろに耐久力のある熊を配置して体当たりで門に突撃させる気だ。敵の大将は門さえ破れば如何にでもなるって解ってるんだ。


「「「「「ブモオオオォォォォ!!」」」」」


「行かせるかあああぁぁぁ!!」


 先頭の猪の背に飛び乗り牙を掴んで首を折り、斜め後ろの猪に飛び移り同じように首を折る。ダメだ・・・これじゃ半分も止められない・・・・・


「小僧一人にいいカッコさせてんじゃねぇ!盾持ちは前に出て構えろ!槍使いはその後ろだ!!」

「弓と魔法で援護しろ!少しでも勢いを減らすんだ!!」


「「「「「おおおぉぉぉぉ!!」」」」」


 カインズさんとアインさんの指示が飛び、冒険者と衛士達が動き出す。相変わらず衛士の攻撃は碌に当たって無いけど、それでも一役買ってるし何とかなるかも?


 猪から熊へと飛び移り倒して行く。だが全てを倒す事は出来ずに後ろへと行かせてしまった。


「クソッ!良いタイミングで次を投入してきやがる!!」


 冒険者まで後100mを切ったタイミングで狼を先頭に蜥蜴が森を抜けて来た。しかも狼が30に蜥蜴が50は居る。


「ちくしょう!これか!このために持たせたんだな!!」


 こうなる事を予想していたであろうパンドラさんを恨みながら背中の鞄に手を伸ばした。


*


*


*


「明日からの遠征用に色々用意しといたから持ってけ」


「あ、収納鞄ですか?有難う御座います。え~っと、野営道具に食料と着替え・・・あの、現地の通貨は用意して貰えないんですか?少しで良いんですけど」


「甘ったれんな。金位自力で何とでもなるだろ、狩りでもすりゃ良いんだし」


「まぁそうですけど」


「それと、こいつも持ってけ」


「剣、ですか・・・出来れば武器は使いたくないんですけど・・・・・」


「お前はまだ身体が小さいだろ?攻撃力が足りないなんて事になるかもしれんしな」


「はぁ・・・・・」


「そう嫌そうな顔すんな。そいつは俺が唯一『娘』と呼んだお前の御先祖さんの為に作ったもんなんだ。あいつが現役を退いた時に『何時かこれを必要とする人が現れた時に御渡し下さい』って言われててな。まぁそいつの息子は受け取れないって断られてからずっと死蔵してたんだわ。だからお前が受け取ってくれると俺としても肩の荷が下りるんだよ」


「・・・解りました。使う事は無いと思いますけど受け取らせて貰います」


*


*


*


 珍しくしんみりとした雰囲気で昔話なんてするからすっかり騙された。


「結局掌の上って事かよ!!何時か必ず見返してやるからな!覚えてやがれ!!」


 覗き見しているであろう上空を睨み、悪態を付きながら鞄から剣を二本取りだした。


 金と漆黒のグラディウス。嘗て地上最強の剣士と謳われた御先祖様が使っていたと言う属性剣を両手に携え、熊を切りつけながら駆け抜けた。


「後は任せた!俺は後続を迎撃に行く!!」


「あんま無理すんじゃねぇぞ!小僧!!」

「何時でもこっちに合流して良いんだからね!!」


 冒険者達からの有り難い言葉を背に、前方から来る魔物の中へと突き進んだ。


 止まるな!動き続けて敵を引き付けるんだ!!


 右へ左へ攻撃を回避しながら剣を振り、倒す事より動きを止める為に足を狙った。数が多過ぎて止めきれないが、後は冒険者達の経験値に賭けるしかないと、戦場を駆け回り両手の剣を振り続けた。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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