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一体何が有ったのかは解らないけど、こうしていても仕方が無いので家に入る事に。
「ただいま~・・・母さんごめん、心配かけちゃって」
「マー君!何処に行って・・・たの・・・・・あなた!あなた大変よ!マー君がお嫁さん連れて来たわ!!」
家に入ると母が玄関まで走って来たけど、スズちゃんを見て走って奥に行ってしまった。
「・・・・・ごめん・・・あんな母親で・・・・・」
「え?可愛らしいお母さんで良いじゃない」
「そうかなぁ・・・まぁいいや、入って」
「お邪魔しますって言うのなんか変な感じ」
「そうだよね。前世でもここに住んでたんだし」
スズちゃんを連れて家の中に入ると奥から父さんが出てきた。母さんはその後ろだ。
「お帰りマルス。そちらのお嬢さんを紹介して貰えるかな?」
「ただいま父さん。こちらは師匠の娘さんでスズカ・マキシマさんって言います」
「初めまして、スズカ・マキシマです」
「ようこそ我が家へ。私はマルスの父のゲイル。こちらが妻のミーナです。立ち話もなんだしリビングでお茶でも飲みながら話そうか」
「父さん、母さん、悪いけど今はのんびり話してる暇は無いんだ。『ライラの宝箱』って知ってる?それがうちの何処かに有る筈なんだけど」
僕の問いに父と母は眉を顰めて顔を見合わせた。
「何処で聞いてきたかは知らないが、あれは家を継いだ者が守って行く事になってるんだ。マルス、悪いが例え息子でもあれに触らせる訳には行かないよ」
「父さん達は知ってたんだ・・・・・聞いて父さん。彼女はライラの生まれ変わりで、僕はケントの生まれ変わりだったんだ。最近前世の記憶を取り戻して今の事態にはあれが必要だと判断して取りに来たんだ。パンドラさんが唯一娘と呼んだ彼女のために作った収納鞄・・・・・あれの中にパンドラさんがライラのために作った服が入ってるでしょ?ライラの死後、娘のセレネから返されてその鞄の中に入れたのは僕、ケントなんだ。だからそのまま受け継がれているなら僕達に・・・いや、彼女に返して欲しい」
「お前達がケント様とライラ様の生まれ変わり・・・・・それが本当なら・・・いや、嘘だとしても今の事態を動かせるなら託した方が良いか・・・・・」
「あなた、マー君がそんな嘘つかないわ。二人ともちょっと待ってて、直ぐに持ってくるから」
「ありがとう母さん。僕の部屋まで持って来て貰える?他にも必要な物を取りに行くから」
僕とスズちゃんは僕の部屋に、父さんと母さんは家の奥へと向かって行った。何処に仕舞ってあるのかは解らないけど、ちゃんと受け継がれていて助かったな。
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「まだ集めるのか?」
ああ、この辺りにはあまり強い魔物がいないからな。せめて数だけでも揃えなくてはならん
「まぁ、城攻めには三倍の戦力が要ると言うのが定説だが、今の私と対等に戦える者が居るとすれば、それはジン・マキシマ唯一人だ」
そうでもないぞ。魔力量で言えば今の其方と同等の者がこちらに向かってきている
「なっ?!本当かそれは?!」
嘘など付いてどうなる。巨大な魔力が二つと奇妙な魔力反応をした者が一つこちらに向かってきているのを感じる。それに、どうやら街中にも魔術に詳しい者が居るようだ
「魔術に詳しい者?皇家の者か・・・確か神託の巫女が居た筈だ、そいつかもしれん」
何にしても魔術防壁を張られている以上、物理的に門を破壊して中に入る方が早い。その為には数が多い方が良い
「・・・・・仕方ない・・・どの道後少し我慢すればいい事だ。こちらに向かっている内の一人は奴に決まっているからな」
魔術防壁のせいで街中が探れないのだ、向かって来ている者以外にも居るかもしれん。決して油断するなよ
「ああ・・・奴には二度も煮え湯を飲まされたのだ、油断などするものか・・・・・」
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「はい、スズカちゃんこれ」
「有難う御座います。お母様」
「まぁ!おかあさんって呼んでくれるの?!も~可愛いわねぇ~スズカちゃんは!ほら、着替えるんだから貴方達は出て行って!それで、何時お嫁に来てくれるの?私女の子が欲しかったのよ~。貴女に似合いそうなお洋服とかアクセサリー沢山用意するわね!それと―――」
母に部屋から追い出された僕と父さんは無言で顔を見合わせ、一方的に話し続ける母の声を扉越しに聴きながら心の中でスズちゃんに謝った。いや、ほんとごめん。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




