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「まさか朝まで続けるとは・・・・・」
「四百年分の鬱憤晴らせてすっきりしたぜ」
「ハァ・・・それも男の方の台詞・・・・・もういいわ、仕事に行ってくるわね」
「おい、飯は如何すんだよ」
「そんなのんびり食べてる暇ないわよ」
「おい、ちょっと待てって!」
「なによ!・・・ムグッ!・・・・・」
「行ってらっしゃい、あなた・・・へへへ、一度やってみたかったんだ」
「だとしても胸倉掴んでやるのはちょっと違うと思うんだけどおおぉぉぉ!!」
「す、すみません!覗いてたとかじゃなくて!その、失礼します!」
「・・・・・どうすんのよ、見られちゃったじゃない」
「あん?なんか問題あんのか?」
「・・・・・ハァ・・・もういいわ・・・・・」
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朝食の席に着くと領主様から明日の説明が有った。収穫祭の初めに領主様から領民へ感謝を伝える事になっているのだそうだ。
「出来れば其方にその場に同席して欲しいのだ。この領地の恩人を皆に紹介したいと思っているのだがどうだろうか?」
「恩人と言われる程の事ではないと思うのですが・・・・・」
「何を言う、領民の命を守るための装備の材料を寄付して頂くのだ、可能ならば其方の顔を知らぬ者など一人も居らんようにしたい位だ」
「魔物を寄付する上で必要な事なら仕方ありません。同席させて頂きます」
僕の事を知らずに誰かが難癖付けたりしないようにするためならいいかなと承諾した。
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長く生き過ぎてしまったと後悔している
自分と言う存在が主の成長の妨げになっていると気が付いた時にはもう手遅れだった
遅くともタニアよりも先に逝くべきだったのだ
一人、また一人と近しい者が亡くなる度に自分が主を支えねばと奮闘してきた
そしてそれが間違いだったと知り涙が零れた
だがそれももう直ぐ終わる
ライラ殿
ライラ殿なら如何しただろうか
もう直ぐそちらへ参ります
どうか愚かな我を叱って下され
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衛士隊との訓練も終わり夕食の席に着くと、お嬢様も席に着いていて体調も戻ったようで安心した。
「マルス様、明日は約束を守って下さいね」
「はい。明日は収穫祭を楽しみましょう」
お祭りか・・・師匠の所に居た時は毎年生誕祭を見に行ってたっけ。アンジェリカ様の奉納舞は素晴らしかったな。
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「ただいま~」
「え?」
「あれ?」
「なによ、変な顔して」
「いや、今日フォルマが『ベルと結婚するからあいつの荷物あたいん所に運ぶぜ』って言って、荷物を全部持って行ったからお前の居た部屋は蛻の殻だぞ」
「そうそう、『これからはうちで食べるから食事の用意もしなくていいぞ』って言うから何も用意してないんだけど・・・・・何か作ろうか?」
「はぁ?!あの娘ったら勝手な真似して・・・・・悪かったわね、あの娘とちゃんと話し合ってくるわ」
「お、いたいた。おいベル、飯の用意しといたから帰って一緒に食おうぜ」
「いたいた、じゃないわよ!あんた何勝手な真似してんのよ!」
「なんだよ、あたいが用意した飯は食えないってのか?」
「そんな事言ってないでしょ!自分一人の事じゃないんだから勝手な真似すんなって言ってるのよ!」
「ん?あたいじゃ不満だってのか?」
「何で解かんないのよ!」
「あの~」
「なによ!」
「痴話喧嘩とか話し合いは別の場所でやって貰えると有難いんですけど」
「うっ!・・・はぁ・・・・・悪かったわね、行くわよフォルマちゃん」
「へいへい」
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夕食後は部屋で読書をして過ごした。仲の悪い幼馴染の騎士と魔法使いが力を合わせて魔物の脅威から国を護る物語で結構面白かった。
次はどれを読もうかな。この部屋に置いてある本はどれも物語らしいし、タイトルを見た限りでは勧善懲悪物みたいだから迷うなぁ。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




