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開拓民と一丸になって切り出した石を湖の中に積み上げ土台を作り、その上に森から運んだ土を敷き詰め街の基礎を築いて行った。
「文字通り何も無い所に一から街を作り上げるのは想像を絶する苦労があったであろう。だが一つだけ幸いと言えるのは魔物を寄せ付けない土地だった事だ。そのお陰で余計な人員を割かずに開拓に集中出来たのだ」
更に言えば初代領主は魔術に長けていた。魔力の続く限り土魔法で街の土台や建築物の強化をし、魔力が切れても魔力濃度の濃い土地故に回復も早かった。そして畑を維持する魔導具や収穫の魔導具の基礎も彼が残した物だと言う。
「初代様が魔術に長けていた事が王家に仇なす可能性ありとしてこの地に送られた理由ではあるが、子孫の誰にも遺伝しなかった事でそのような事は出来ないと言う証明になった。無論初代様も含めその子孫や領民も誰一人としてそのような事を考える者は居なかったがな」
我々は〝裏切りの代償〟の大きさを最も理解している一族なのだからと領主様は寂しげな笑顔で言った。
その昔うちも、ガーランド家も王家に裏切られ国を捨てた。そして裏切った王家は国と共に滅んでいる。立場は逆でも〝裏切りの代償〟の大きさは僕も良く理解しているつもりだ。
「ああそうだ、其方は『全ては無より生み出される。故に無は全てを凌駕しうる可能性そのものだ』この意味が解るか?」
「無より生み出される?何でしょうかそれは・・・・・」
「初代様の残した魔導具の文献に記されていた一文なのだが、私には意味が解らなくてな。何でもいい、何か思い当たる事は無いか?」
何か思い当たる事か・・・・・魔術に長けた初代領主の残した一文・・・・・
「あ・・・もしかして無属性の事かな?」
「無属性?何だそれは?」
「あれ?主要六属性は解りますよね?光と闇、地水火風の六属性の他に無属性、身体強化等のどの属性にも当て嵌まらない魔法や純粋な魔力の事を指すんですけど、知りませんでしたか?」
「初めて聞いたが・・・どの属性にも当て嵌まらないから無属性か・・・・・成程、確かに魔力を消費して様々な現象を起こすのであるから全てを生み出しているとも言えるな。これで長年の謎が一つ解けたぞ、礼を言う」
「いえ、そんな戴した事では」
魔術の基本だと思ってたけど、こっちでは知られてないのかな?
「まぁ、我が領地は私の父の代から急速に発展した事も有って他の貴族から疎まれておるのだよ」
「成程・・・それにしても千年近くも前の事を持ちだすとか、僕には理解出来ません」
「私もこじつけにも程があると思うておるよ。下らんやっかみよりもやるべき事が有ると言うのに嘆かわしい。しかし其方とは気が合うな。ははははは!」
その後は他愛もない話をしてお開きとなった。魔術に長けた初代領主の話は興味深かったな。無は全てを凌駕する、か・・・・・
*
*
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「なぁ、ベル」
「なぁに?フォルマちゃん」
「一つ聞きたいんだけど、お前・・・あたいの事どう思ってる?」
「あはははは!やだ、もう酔っ払っちゃったの?貴女らしくないわね」
「酔ってねぇよ!たった五杯で酔う訳ねぇだろ!真面目な話、あたいはこんなだから女として見られねぇんだよ」
「まぁ否定はしないけど、あたしは貴女の事好きよ。でなけりゃ二人でお酒なんて吞まないわ。なぁに?誰か好きな男でも出来たの?もっと自分に自信を持ちなさいな、貴女は良い女よ」
「そうか・・・・・その台詞が聞けて勇気が出たぜ、ありがとな」
「どういたしまして。応援してるから頑張って」
「ああ・・・・・なぁ、ベル」
「なによ」
「お前―――」
ハンスだろ
運命と言う名の巨大な歯車が動き出す
それは偶然などではなく必然で
止める事の出来る者など居る筈もなく
全てが大いなる意志の元
闇を照らすべく収束して行く
ここまで読んで頂き有難う御座います。




