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 支部長との交渉を終えて三日後にトロールとオーガを預ける事が決まった。オーガはまだしもトロールは大き過ぎて五体分のスペースを空けるのに時間が掛かるのだそうだ。


「では、宜しくお願いしますよ、支部長」


「はい、確かに承りました」


 へぇ・・・僕と余り歳が変わらないと思うんだけど、中々堂に入った交渉だったな。遊んでばかりだったとか言ってたけど、領主の娘として恥ずかしくないだけの勉強は出来てるじゃないか。


「用事も終わりましたし、お店を見て回りましょうか」


「はい」


 その後はお嬢様が懇意にしている服屋とかアクセサリー屋等を見て回ったり、高そうなレストランで食事をしたりして屋敷に帰った。当然のように支払いしないで出たけど、後で領主館に取りに来るのかな?


 正直見て回りたかったのは表通りの店だけじゃなくて裏通りの奥だったんだけど、お嬢様を連れて行く訳にもいかなくて諦めた。


「如何でしたか?お父様の作り上げた街は」


「そうですね、活気が有って良い街だなと思いました」


「有難う御座います。マルス様に褒められてお父様も喜ぶと思います」


 普通に考えれば領主の娘に悪口を言う訳ないんだけど、素直なのか解った上でお世辞にテンプレで返しているのか、良くも悪くも表情から読めない所が貴族の娘だなと感じた。


 にしてもだ、お嬢様と出かけるのは無しだな。館を出て暫くしてからずっと監視されていた。目的は解らないけど僕を監視しているのは間違いないし、お嬢様を巻き込む訳にはいかないからね。


「我が街は如何だったかね?マルス殿」


「はい、活気が有って良い街だと感じました」


「そうか。マルス殿に褒められると誇らしい気持ちになるな」


「マーガレットが何か粗相はしませんでしたか?」


「お母様!私だって何時までも子供では有りません!お客様のご案内位出来ますわ!」


「粗相なんてとんでもない。商業組合での交渉は流石領主様のご息女だなと感じましたし、その後に見て回った商店でも色々説明して頂きとても助かりました」


「ははははは・・・そうかそうか、マーガレットも立派になったものだ。さて、食事にしよう」


 食事の準備が整う前に今日出掛けた時の話をして、いざ食べ始めると全員の手が止まった。


「むぅ・・・マルス殿、これはタイラントボアの・・・・・」


「はい。僕も初めて食べましたけど、これ程とは思っていませんでした。領主様が気に入るのも当然かと」


 何だこれ?鶏肉と牛肉の良いとこ取り?調理技術も有るんだろうけど簡単にナイフが通るし、凄く柔らかいのに噛み応えもある・・・・・


「モンタナで食した時より数段旨い・・・これは料理長に褒美をやらねばならんな」


「これ程美味しい食事を頂いたのは師匠の所にお世話になっていた時以来です。料理長にお礼を言わなければ」


 ライエルさんはこの肉を如何調理するだろう。師匠から渡されているかもしれないけど最低一匹は取っておこう。


「ほう、使徒殿の家には腕の良い料理人が居るのか」


「師匠の義理の弟に当たる方で、エデン商会の代表をしている方になります。聖都アブサラで知らない者は居ない程の腕を持つ料理人です」


「聖都で名高い料理人か・・・一度その者の料理を食してみたい物だ・・・・・」


 ここからアブサラに行くには山脈を迂回しなければならない。領主様の立場では引退したとしても行く事は叶わないだろう。


「・・・・・領主様、この旅の終着点は聖都アブサラです。何時になるかは解りませんが、必ず領主様に料理をお持ちするとお約束します」


「む・・・そうか、その時を楽しみにしておるぞ、ははははは!」


「マルス様、明日は今日見て回れなかった所を案内したいのですけれど」


「あ、済みません。誘って頂いて申し訳ないのですけれど、明日からは身体を動かしたいので街の外を走って回りたいんです」


 お嬢様には悪いけど連れて行けば回れる所が限られちゃうからね。


「そうですか・・・残念です・・・・・」


 和やかな雰囲気のまま夕食も終わり、部屋に戻る前に料理長にお礼を言い部屋に戻って就寝した。何時まで監視するつもりだろう?別に何かする気は無いんだけどなぁ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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