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開けて翌日。朝食後に崩れかけた教会の解体を始めた。
「フゥ・・・取り敢えずこんなもんかな?後は木材と石材で分ける位か」
「・・・・・す、すげぇ・・・本当に一人で壊しちまった・・・・・」
「マルスにいちゃんかっこい~!」
「すごいすご~い!!」
「あ、危ないから皆は近寄っちゃだめだからね。薪用の木材はこっちに分けとくから」
「「「「「は~い!」」」」」
領主様が帰ったら使えない瓦礫は深淵門で消しちゃおう。
「なんて事だ・・・本当に建物が無くなっている・・・・・」
「だから昨日から何度も言ってるじゃねぇか」
パンパンと手の埃を払っていると背後から声が聞こえてきて振り返ると、そこには支部長と町長と思しき人が立っていた。
「支部長、おはよう御座います。そちらの方が町長さんですね?」
「おう、おはよう。こいつが町長のデイビスだ」
「初めましてデイビスさん。僕はマルスって言います。はい、皆も挨拶して」
「「「「「おはようございま~っす!」」」」」
「あ、ああ・・・おはよう・・・・・って、暢気に挨拶なんかしとる場合か!お前達!これが如何言う事か解っとるのか!!」
「・・・・・ぅ・・・うえええぇぇぇぇ・・・・・」
「あ、泣かせた・・・・・」
「町長さんが泣かせた~」
「ぇ・・・・・あ、いや、その・・・・・す、すまん・・・・・」
「町長さんも謝ってくれたしもう泣き止もうね。みんなも許してあげてね」
「「「「「は~い」」」」」
「さて、支部長からある程度は話を聞いているとは思いますが、明日に向けての対策会議をしましょうか」
「あ、ああ・・・そうだ、そのために来たのだったな・・・・・」
支部長と町長を連れて院長室に入った。
「あ~・・・済みません、お茶とか無くて・・・支部長に頼んでおけばよかった・・・・・」
「いや、構わんよ。それよりも、明日を如何やって切り抜けるかだが・・・・・簡単な説明はウォルトから聞いたが、本当に大丈夫なのだろうな?」
「ええ、勿論です。領主様はここを商業ギルドに買い取って貰いたいと言う事ですし、建物の撤去は問題にならない筈です。寧ろ孤児達を三年も放置してた事の方が問題です。彼等が犯罪に手を染めて治安が悪化していれば町長の責任問題になりますから」
「うっ・・・・・だが孤児達の面倒に掛ける予算など・・・・・」
「彼等が今日までどうやって生き延びて来たのか知ってますか?自分達で商会から仕事を貰って端金で何とかやって来たんです。町の掃除でもいい、町長が彼等に僅かでも手を差し伸べていれば建物を壊して暖を取る必要も奴隷商人に攫われる心配もしなくて済んだんです」
「ちょっ!ちょっと待て!奴隷商の話は聞いてないぞ!」
「何度も『何人か売れば楽になる』と話を持ち掛けられたそうです。彼等は身を守るために常に複数人で移動し、周囲の見回りもしていたそうですよ」
「な、なんて事だ・・・・・この町でそのような犯罪紛いの事が・・・・・」
「こりゃあ発覚すれば解任待った無しだな、町長」
「あ、ああ・・・如何したものか・・・・・」
ナイスアシスト支部長。これだけ脅しとけば大丈夫だろ。
「領主様は僕が何とかしますから、ここの警備に衛士を数人回して下さい。僕が居る時は大丈夫ですが、留守にしている間に襲われないとも限りませんから」
「それで逃れられるなら安い物だが・・・如何やって・・・・・」
「表向きは僕がここの責任者だと言う事にして下さい。ジン・マキシマの弟子なら成人前でも不足はないでしょう。その上で領主様と交渉してここを買い取ります」
「それは・・・確かに使徒殿の弟子ならば問題無いか・・・・・だが買い取れるだけの資金は有るのか?」
「それこそ問題ありませんよ。ね、支部長」
「ああ、トロールの三体も出せば釣りが来ると思うぞ。あの巨体を見ればジン・マキシマの弟子だと言う事も信じるだろうしな」
「ああ、そうだ。町長にはお世話になりますし、お土産にタイラントボアなんていかがです?」
「は?え?ほ、本当にトロールやタイラントボアを持っているのか?」
「ええ。なんなら衛士隊の装備用にオーガも付けましょうか?」
「ま、待ってくれ!有難い申し出だが、それが本当だとしても置いておく場所が無い!」
「ん~、それじゃあ一時的に組合に預かって貰って、解体後に職人を通して出来上がった装備を納入するって事で良いですかね?」
「・・・・・本当に頂けるので?」
「やだなぁ、そんな遜らなくても差し上げますって」
「・・・た・・・・・」
「た?」
「タイラントボアだけでも先に下さい!明日の領主様の御持て成しに使いますので!!」
「あ、はい」
あの蛇食べられるんだ・・・しかもこの反応だと結構美味しいのかな?
ここまで読んで頂き有難う御座います。




