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「失礼するよ。お待たせして申し訳ない、私はここの支部長をやらせて貰っているウォルトと言う」


「初めまして。僕はマルスで、隣の彼はナックと言います。どうぞ宜しく」


「よ、よろしくお願いします」


「こちらこそ。さて、職員から君の事は簡単に聞いたが、どうにも信じられないと言うのが私の率直な感想なんだが」


「でしょうね。僕がジン・マキシマの弟子だと言うのは証明のしようが有りませんし。でも、そこは戴して重要じゃないですよね?要は取引が出来ればそれでいい。違いますか?」


「ほう、ではトロールの方をお見せして頂けると」


「勿論です。では、早速ですが倉庫にでも案内して頂けますか?」


「・・・・・倉庫に?何をする気か解らないが・・・いいでしょう、付いて来て下さい」


 何で解らないかなぁ。話の流れからトロールを見せる以外に無いと思うんだけど?まぁ信じられないのは解るけど。


「こちらで宜しいかな?」


「・・・・・ハァ・・・僕の事を試しているのか馬鹿にしているのかは解りませんが、こんな狭い倉庫にトロールを出せる訳ないでしょ。トロールは全長8m前後だって知ってますか?もっと広い場所に案内して下さい」


「は?トロールを出す?何を言ってるんだ君は」


「ああ、もういいや、めんどくさい。ナック、支部長の隣に移動してて、危ないから」


「お、おう!」


 案内された小さな倉庫と隣の建物の通路の間にトロールを収納から出すと、ナックは壁に凭れ掛かるトロールを口を開いて呆然と見上げ、支部長は


「・・・・・なんじゃこりゃあああぁぁぁぁ!!」


 と、暫く固まった後に叫び声を上げてその場で腰を抜かした。なんだこいつ、トロール見た事無かったのかよ。


「見ての通りトロールですけど?で、これを幾らで買い取ってくれるんですか?」


「ちょっ、ちょっと待ってくれ!こいつを仕舞える冷蔵倉庫を空ける!」


 最初からそうすりゃいいのにと、嘆息しつつ収納にトロールを仕舞い、支部長に付いて冷蔵倉庫に向かった。あ、そうか、解体後の素材だと思ってたのかな?


「・・・ハァ・・・ハァ・・・済まんがここに置いてくれ・・・・・」


 支部長を含めた職員総出で冷蔵倉庫を片付けたスペースにトロールを出した。


「おお・・・話に聞くのと見るのじゃ全然違うな・・・・・」

「俺は背中の皮ってのを見た事が有るけど、あれはほんの一部だったんだなぁ・・・・・」


「・・・に、してもだ・・・・・」


「「「「「いったい幾らで買い取るつもりですか!支部長!!」」」」」

「「「「「って言うか、収納魔法なんて初めて見たよ!!」」」」」


「ちょっ、ちょっと待ってくれ!今素材表と過去の取引台帳を確認してるから!」


「目玉位しか欠損してませんし、下手に値切ったら帰られちゃいますからね!高かったかな?位にして下さいよ!こんな機会は先ず有りませんからね!!」


「解っとるわ!!今後の事を考えたら下手な真似なんか出来んし、その時は俺のクビが飛んじまう!!え~っと・・・ああぁぁぁ!!算盤!誰か算盤持って来てくれ!!」


 交渉相手の目の前でそう言う事を言うのは如何な物かと・・・・・それにしても素材部位ごととかで計算が大変なのかな?安売りする気はないけど早くしてくれないかなぁ・・・・・


「私共が三千万で買い取りましょうか?支部長殿」


 支部長が計算に四苦八苦している所に背後から声が掛けられた。なんだ、さっき馬鹿にしてた商人達の内の一人か。


「さっき貴方達には売らないって言いましたよね?無関係の人が話に入って来ないで貰えますか?迷惑なんで」


「いえいえ、貴方が売った物を私が買い取ると言っているのですから、私と支部長の取引になるので貴方こそ口を挟まないで頂きたい」


「そんな詭弁を僕が許すと思ったら大間違いですよ。どうせ僕が子供だから簡単に誤魔化せるとか思ってるんでしょ?そんなんだから上に上がれねぇって解ってねぇだろ!お呼びじゃねぇんだ!すっこんでろ!!」


「ぉ・・・ぁ・・・・・」


「支部長、解体した後の素材は加工と販売の出来る職人にだけ売る事を契約書に明記して下さい。こんな暴利を貪る事しか考えていない商人モドキ達が居るせいで質の良い武器や防具を必要とする人達が手にする機会を失うのは許せませんから」


「・・・・・ああ・・・解った。作成した装備品は冒険者か衛士隊以外に販売しない事を取引条件に付け加えておく」


「なっ!」


「宜しくお願いします。さて、さっさと出て行って貰えますか?邪魔なんで」


「クッ!・・・・・支部長、私達を敵に回した事、必ず後悔しますぞ」


「お前こそ組合を敵に回すって事が如何言う事か解ってるのか?お前達が一番欲しがる〝情報〟を握ってんのはこっちなんだぜ」


「・・・・・フンッ・・・失礼する!」


 捨て台詞を残して去って行く商人を一瞥する事無く計算を続ける支部長。打算もあるんだろうけど僕の味方してくれるみたいだし、さっきまでの狼狽えた姿は見なかった事にしてあげようかな?

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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