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「・・・・・なぁ・・・お前、何もんだ?」


 僕の少し前を歩くナックが振り返らずに聞いてきた。まぁ気になるって言うか気味が悪いよね。


「僕が何者かなんて如何でもいいでしょ。君は僕を頼った。僕はそれに答えた。それだけで十分じゃない?」


「ああ、俺達だけならそれでいい。でもな、メンデルさんにだけは迷惑かけたくねぇんだよ」


「言いたい事は解るよ。でも、多少迷惑を掛けてでも皆を守る事を優先しなきゃいけない。違うかな?」


「それは・・・そうだけどよ・・・・・」


「まぁ何にしても僕に任せてよ。信じられないかもしれないけど、決して君達が不利益を被るような事はしないからさ」


「・・・ああ、解った」


 ナックはそれ以上何も言わずに歩き続けた。メンデルさんから受けた恩と僕から受けた恩を秤に掛けているんだと思う。そしていざとなったら僕よりメンデルさんの方を取る覚悟をしているんだろう。でもね、それは悪手でしか無いと思うんだよ。


「ここだ」


「ロールズ商会ね・・・・・」


「裏に回るぞ、俺達は表から入れねぇんだ」


「はいはい」


 ナックに付いて裏に回る。うん、知ってた。この商会も僕の事門前払いしたし。


「お、いたいた。こんにちわ、おやっさん!」


「ん?なんだ、ナックじゃねぇか。今日はもう仕事はねぇぞ」


「いえ、メンデルさんにこいつを紹介したくて」


「なんだ、新入りか?」


「初めまして、僕はマルスと言います。大口の儲け話を持ってきたので、この商会で一番偉い人を紹介して頂けないでしょうか?」


「ハッ!大口の取引だ?孤児のお前が?馬鹿言ってんじゃねぇよ」


「ははははは・・・人を見た目で判断するなんて商人失格ですね。ナック、この商会はダメだ、先が知れてるから他を当たろう」


 ナックには悪いけど試させて貰う。


「おまっ!なんて事言ってんだ!」


「おい、坊主、孤児の分際で舐めた口利いてんじゃねぇぞ」


「は?誰が孤児だなんて言いました?僕には役所で働く立派な父と家を守る母が居ますけど?言いましたよね?『人を見かけで判断するな』って。聞いてなかったんですか?」


「「なっ!」」


「お、おい、マルス・・・お前孤児じゃなかったのかよ・・・・・」


「そんな事一言も言ってないけど?」


「いやいや、そんな恰好で路地裏に佇んでたら誰だって孤児だと思うだろ!」


「そう?だとしてもここはダメだって僕の評価は変わらないから他に行こう。君達もここで働いてたって食い物にされるだけだから辞めた方が良い。って言うか、これだけ言われたらもうクビだろうけどね」


「当たり前だ!このクソガキが!!二度とツラァ見せんじゃねぇぞ!!」


「勿論こちらから願い下げですよ。行こうナック、こんな所で働くよりもずっと稼がせてあげるよ」


「お、おい!待てよマルス!」


 静止の声を上げるナックを無視して表通りに出て町の中心へ向かった。さてナックは・・・お、追いかけて来たな。


「待てって言ってるだろ!マルス!」


「そんな暇は無いよ。急がないと夕食に間に合わないじゃないか」


「晩飯って・・・・・お前なぁ・・・それ所じゃねぇだろ!明日から如何やって生きてきゃいいってんだよ!」


「言ったじゃないか僕が稼がせてあげるって。良いから付いてきなって」


「ハァ・・・何処に行くってんだよ・・・あれか?冒険者組合か?」


「まさか。そんな所に行ったって上前跳ねられるばかりで儲けが減っちゃうじゃない」


「は?じゃあ何処に・・・ってそこは!」


「そう、商業組合さ」


 組合員証から足が付くかもしれないけど仕方なしだ。


「馬鹿かお前は!確かにそこには商人が沢山いるけど、俺達の相手なんかしてくれる訳ねぇだろ!」


「取引相手なら商人だけじゃないでしょ」


「く、組合相手にすんのかよ・・・・・」


「それはここに居る商人次第かな?まぁ黙ってみててよ」


「まぁ、俺じゃ口を挟む事なんて出来ねぇし・・・・・」


「それじゃ、行こうか」


 もう如何にでも成れと言った感じで腹を括ったナックと共に商業組合の扉を開いて中へと入って行った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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