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「マジで何にもねぇ・・・・・」


 食堂併設の調理場には本当に食材が何もなかった。小麦粉すらないとは思わなかったよ。


「だから言ったじゃねぇか。買い物に行ってねぇんだ、食い物なんてある訳ねぇだろ」


「調理器具があるだけましか・・・・・お、塩は有るんだ」


「まあな。塩だけは切らすなってメンデルさんに言われてんだ」


「メンデルさん?」


「ああ、俺達が仕事を貰ってる商会の代表だ。あの人が居なかったら俺達はとっくに死んでたか奴隷になってたと思う」


「ふぅ~ん・・・後でその人も紹介してね。薪は~・・・・・これって板?もしかして隣の教会の壁だった・・・とか?」


「おう。町の外に薪拾いに行く訳にもいかねぇし、薪なんて買う金もねぇから使わせて貰ってる。良いだろ、誰も居ねぇんだし」


 それってロードルデルフから賠償請求とか来るんじゃない?大丈夫か?


「まぁやっちゃったものはしょうがないか。ナック、そこの大鍋に水汲んで来て貰える?」


 僕を入れて十七人だし、夕食の分も作っちゃおう。


「水?お湯でも飲むつもりか?」


「良いからその鍋三つ分汲んで来てよ。僕は井戸の場所知らないし、他にやる事あるからさ」


「あ~・・・まぁいいか、行ってくるよ」


 まだ収納魔法見せたくないだよね。お金に困ってる人を完全に信用出来ないし。


 ナックが調理場を出て行き、周囲に人の気配が無い事を確認してから収納から肉と野草なんかを出して行った。


 竈に火を入れて一口大に切った肉を野草と一緒に炒めているとナックが帰ってきた。


「ほれ、先ずは一つ・・・・・お前!その食糧何処から持ってきたんだ?!」


「いいから皿を用意してから残りの鍋のも汲んできちゃってよ」


「よくねぇだろ?!そんな大量の野菜と肉・・・・・」


「ヨダレ、ヨダレ。全員分なんだからこれ位必要だろ。兎に角皿を出してよ、次が焼けないからさ」


「お、おう!・・・・・肉なんて最後に食ったの何時だったかな・・・・・」


 普段何食ってたんだよ、麦粥とかか?


 用意して貰った皿に盛り付けては次を焼き、別の竈に鍋を掛けて野草と肉を入れて煮込んでいく。


「ん~・・・塩と香草だけじゃこんなもんか。ナック、全員食堂に集めて」


「おう!」


 ナックの後を追って大鍋を持って食堂に入ると既に全員が揃っていた。早えぇなおい!あれか、匂いに釣られて集まってたのか?


「・・・・・まぁいいか、全員皿を持って並んで。スープをよそうからさ。手の空いてる人は奥の料理運んで」


「「「「「は~い!」」」」」


 なんだろう、凄く統制が取れてる気がする。全員が自分の役割とか出来る事を把握してるのか。


 で、配膳が済んで食べ始めたんだけど、小さい子達が首をかしげてる。


「おにーちゃん、これなーに?」


 一人の女の子がフォークに刺した肉をナックに向けて問いかけた。見た事すらなかったのかよ・・・・・


「肉だ肉。凄げぇ旨めぇから食ってみな」


「おいしいの?・・・・・ほんとだ!すごくおいしい!!」


 一人が食べ始めればあっと言う間に全員が食べ始め、会話も無くあっと言う間に食べ終わった。


「そんな慌てなくてもいいのに・・・・・ナック、さっき言ってた商人、メンデルさんって人の所に案内して」


「おう。だが、その前に・・・全員マルスにお礼を言え!食料を用意したのも、料理も全部マルスがしてくれたんだからな!」


「「「「「ありがとうございます!」」」」」


「よし!それじゃ俺達はメンデルさんの所に行ってくるから後片付けと留守番は頼むぞ」


「「「「「はい!」」」」」


 これってナックが教育してるのかな?それとも教会の教えを続けてる?まぁ、どっちでもいいか。


 ナックの後に付いて食堂を出ると五人の子供が付いてきた。


「あ~、そういや外に出る時は五人以上でとか言ってたな。君達はここに残ってて、僕とナックだけで大丈夫だから」


「え?いや、でも・・・・・」


「大丈夫だから。それよりもここを守る方が大事だし、何か有ったら直ぐに僕らに知らせに来て」


「・・・・・マルスの言う通りにしとけ。こいつが大丈夫だって言うなら何か理由が有る筈だしな」


「・・・解ったよ兄ちゃん」

「気を付けてね!」


「おう、行ってくる」


「「「「「いってらっしゃ~い!」」」」」


 本当に統率が取れてるなと笑みを溢し、ナックの後に付いて孤児院を出てメンデルさんと言う人の居る商会へと向かった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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