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「走れ走れ!走り回って攪乱しろ!前後左右から攻撃して的を絞らせるな!」
「「「「「ワフ!!」」」」」
「よっと、いいぞ!今のはいい攻めだ!相手の動きを読んで常に先制出来る位置取りを心掛けるんだ!」
師匠達とのニアミスから三日。僕はあの洞窟で狼達と暮らしていた。なんか妙に懐かれちゃったんだよね。もしかしたら師匠達を僕が追い返したと思われたのかも。
で、今は狼達と多対一の訓練中だ。まぁ僕は回避するだけで、狼達の連携の訓練になってるけど。
言葉は通じないけど、なんとなく意思の疎通が出来てるのは獣人の血の成せる業だろうか?
更に二日間狼達と狩りや訓練をしてから僕は北へと向かった。
「それじゃ、皆元気で」
「クゥ~ン」
「必ずまた会いに来るからそんな顔すんなよ。それじゃ!」
「「「「「ワオオォォォン!」」」」」
狼達と別れて山を越え谷を越え魔物を倒しつつ進む事十日、漸く山脈を抜ける事が出来た。
「先ずは町か村を探さないとなぁ・・・流石に着替えが欲しいし・・・・・」
川岸に穴を掘って貯めた水に焼いた石を入れたお風呂に入ったり洗濯もしたけどいい加減限界だった。服なんか擦り切れて来たし。転移した時、皆伝の証を着て無くてよかった。
森を抜けて街道らしき開けた場所に出たのは更に三日後だった。
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「ああ、そういやマルスなら北の山脈に居たぞ」
「は?何で直ぐに教えてくれねぇんだよ!こっちはあいつの魔力反応ロストしてからずっと探してんだぞ!」
「別に教えろとか言われてねぇし。それに、お前ならとっくに見つけてると思ってたんだけどな・・・そうかそうか、あいつも大分やるようになったじゃねぇか」
「感心してる場合か!何時だ!何時頃見つけた!」
「ん~・・・カルヴァドスの飯を取りに行った時だから二十日近く前だったかな?」
「チッ!そんな前かよ・・・・・クソッ、何処行きやがった・・・・・ダメだ・・・反応がでねぇ・・・・・」
「もう転移で別のとこ行ったんじゃねぇの?」
「それは無ぇよ。この大陸はほぼ全て探査範囲内に入ってんだ、流石に転移位大規模な魔術を使ったら魔力反応で見つけられる」
「そうか、じゃぁ諦めるんだな。おそらく次に転移を使うまで魔力は殆ど使わねぇだろ。俺だって偶然直ぐ近くを飛んで無かったら気が付かなかっただろうし。つーか、マルスの事を抜きにしても最近よく来るよな、何でだ?」
「・・・・・別に・・・良いじゃねぇか・・・・・」
「まぁ、そうなんだけどな」
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「すみませ~ん!近くの町か村まで乗せて貰えませんか?」
「ば・・・・・」
「ば?」
「化け物んだあああぁぁぁぁ!!」
「あ・・・こっちは人族しか居ないの忘れてた・・・・・」
「来るな化け物!人の真似なんかしやがって!!」
「総員防衛態勢だ!迂闊に近付くな!!」
「遠距離攻撃だ!近付かせるんじゃねぇぞ!!」
「ちょっ!ちがっ!僕は危害を加える気なんて・・・・・」
「撃て撃てエエェェェ!!」
「前衛は迂闊に盾から顔出すんじゃねぇぞ!何して来るか解らねぇからな!!」
「ああもう!!」
街道を東に歩いていたら、後ろから馬車と馬に乗ってる人達がやって来たので乗せて貰おうと声を掛けたら化け物扱いされたよ・・・・・人族しか居ない世界だって忘れてた僕も悪いけどさぁ・・・言葉を話せるんだから行き成り攻撃しなくてもいいでしょ・・・・・
反撃する訳にもいかずに走って街道脇の雑木林へと逃げ込んだ。暫くは隠れて移動する事にしよう。
隠れて移動する事二日。木々の切れ間に石積みの防壁が見えてきた。今度は忘れずに隠蔽魔法を使ってから雑木林を出て、衛兵の守る門へと歩いて行った。入町税とかありませんように・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




