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 町の中心にある役場に入ると、ホールに居た人が直ぐに案内してくれて奥の部屋、町長室へと通された。


 部屋に入ると温和な笑みをした五十代前半位の女性が居た。この人が町長?てっきり男性だと思ってた。


「お呼びだてして申し訳ありませんね。お役目ご苦労様でした、若き『守護者』の末裔さん」


「・・・ハァ・・・貴方も関係者でしたか・・・それで、僕に何の用ですか?パンドラさんから何か伝言でも?」


「いえいえ、この会談は私の独断です。貴方に知っておいて欲しい事が幾つか有ります。先ずは自己紹介からですね。私はモーリーと申します、貴方には『ハンス商会の意思を継ぐ者』の末裔と言った方が解りやすいかしら?」


「ハンス商会なら何度か買い物に行った事は有りますけど・・・『意思』ですか?」


「あらあら、本当に何も聞かされていないのですね。相変わらず過保護です事」


「過保護?パンドラさんが?」


「貴方を見ればその理由も解ろうと言う物です。貴方は似過ぎているのですよ。彼の愛した『娘』とその夫に」


「僕のご先祖様にですか?そんな事一度も言われた事は有りませんけど・・・・・」


「今はまだ若いからライラ様に近いですけど、後数年もしたらケント様に似てくるのでしょうね・・・・・お二人が亡くなられてからと言う物の、パンドラ様は人との関わりを可能な限り減らしておいででした・・・あれからもう四百年を超えるのですね、早いものです」


「あ、貴方は一体・・・・・」


 あれから四百年って・・・この人魔族との混血だったのか・・・・・


「二代目ハンス商会会頭リゲルの孫に御座います。ライラ様とケント様には良くして頂きました。お二人は最期を迎えるその時までパンドラ様の事を心配なさっていたのですよ。今となっては当時の事を知る者はアレス様とフォルマ様位で・・・あ、勿論ディアナ様とミネルバ様を除いてですよ。あのお二方は私達〝人〟とは違いますから」


「・・・それで、僕に如何しろと?」


「クスクスクス・・・別に何も・・・唯私の話を聞いて頂ければそれで。後は貴方自身が考える事ですから」


「そうですか・・・解りました、聞かせて下さい」


「先ず最初に誤解しないで欲しいのです。パンドラ様は貴方を退屈凌ぎの道具として扱っている訳では有りません。あれは貴方の為に態とああ言う態度を取っているだけ、とても不器用な方なのですよ」


 そうかなぁ、思いっきり楽しんでたように感じたけど?自分の出番まで用意してたし。


「信じられないでしょうけど、数十年振りに気を許せる方を見つけて少し羽目を外してしまっているの。久しぶりに私の所へ来た時も『面白い奴を見つけた』なんてとても楽しそうに話をして、貴方が来る事で迷惑を掛けてしまうかもしれないと言って帰って行ったわ。あんなに感情を表に出した所を見たのは本当に久し振りで・・・帰られてからつい笑ってしまったわ」


 そう言えば僕が小さかった頃は何時も家で音楽ばかり聞いていて物静かな人だと思っていたっけ。それにしても『面白い奴』って・・・師匠の事?


「貴方は自分で『厳しめの所』を頼んだと聞きましたが、実際如何でした?厳しかったですか?」


 思い返してみると数が多くて面倒だったけど厳しくはなかったと思う。それ所か本命だった筈の武道大会の覇者は精神生命体が居た事に気を取られて、普通の人と戴して変わらなかった事を忘れていた・・・・・


「そうでも無かったのでは有りませんか?あの方は近しい者に決して無理はさせません。ライラ様に始まり、アレス様にケント様、皆それぞれが彼の教えによって強さを得ましたが、怪我を負った事の有る者はアレス様だけ、それも唯の一度きりです。その時の事も有って『過保護』になってしまったの、自分のせいで他人が傷付く事を極端に嫌うのよ」


 そう言えばフォルマ姉さんやアレスさんがお役目で怪我をしたなんて話聞いた事が無い・・・・・


「思い当たる節があったかしら?ここからが本題になるのですけど、私達『意思を継ぐ者』が今一番懸念しているのはパンドラ三眷属が最後の一人、アレス様の寿命が近いと言う事です」


「え・・・・・」


 僕はアレスさんが亡くなる日が近いと聞かされて、それによって何が起こるのかを何も想像出来ずに唯困惑するばかりだった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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