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12

 ここへ来たって事は答えが出たって事か―――


 はい―――


 それじゃあ見せて貰うとしますかね、その答えって奴を―――


 では・・・行きます!!


 あ?それが?そんなもんがお前の出した答えかよ―――


 え?


 ハァ・・・がっかりだ・・・失望したよ―――


 っお―――


 終わりだ・・・この上着は返して貰うぜ―――


*


*


*


「・・・・・ぅ・・・うわあああぁぁぁ!!」


 酷い夢を見て魘されて目が覚めた。師匠と対峙して『ミラージュ』と『朧』を使い、師匠を分身で囲んだ次の瞬間に師匠の抜き手が僕の胸を貫いていた。


「ハァ・・・完全にあの時の事がトラウマになってるんだなぁ・・・・・」


 『朧連撃』を試したせいも有るんだろうけど。


 夢の中の師匠は言った『失望した』と。その言葉が僕の中に強く残っている。何だろう、胸の奥に何かが引っ掛かっている気がする。上着を奪われ、免許皆伝を取り消された事もショックだった。


 唯の夢だと言ってしまえばそれまでだけど、如何にも何かを見落としているような、勘違いしているような気がしてならなかった。


 着替えて一階に降りるとそこは野戦病院の如く死屍累々だった。


「あ、お早う御座います。朝食って食べられます?」


「ええ、大丈夫よ。ちょっと待っててね」


 ゴーゴーと鼾をかいて眠る冒険者達を横目に朝食を摂り、女将さんに挨拶をして支払いを済ませて宿屋を出る時に振り返って転がる皆に頭を下げた。


 早朝の人気の無い道を南門へと向かう。いや、正確には人気は有るな。歩いている人が少ないだけで道端に寝てる人が結構いるし。


 南門に着くとアインさんを筆頭に衛士達が集まっていた。なんで?


「お早う御座いますアインさん。何か有ったんですか?」


「お早うマルス。何を言っている、君を見送りに来たに決まっているじゃないか」


「え?今日出るって言ってませんでしたよね?なんで―――」

「昨夜君が泊まっていた宿屋で冒険者達に聞いたのだ、今朝立つとな」


 ああ、ブルートさん達に・・・あ、そうだ。


「ちょっとお願いが有るんですけど良いですか?アインさん」


「ん?なんだ?君の頼みなら大概は聞くが・・・・・」


 他の人に聞かれても良いんだけど、一応耳打ちしてお願いした。


「・・・・・本気か?かなりの額になると思うのだが・・・・・」


「良いんです。お金では買えないものを沢山貰いましたから」


「そうか・・・確かに引き受けた」


「宜しくお願いします。用が終わったら帰って来ますけど、皆さんお元気で」


「この町を救った英雄マルスに敬礼!!」


 アインさんの号令で剣を掲げる衛士達に見送られて南へと向かった。本当に思い出深い町だったな。


*


*


*


 宿屋の女将さんに叩き起こされて目を覚まし、酔い覚めのお茶を飲んでいる時だった。


「おい、ブルート!ブルートは居るか!」


 衛士隊の隊長がやって来て俺の事を呼んだんだ。


「ん?何だ隊長さんじゃねぇか、俺になんか用か?」


「ギルドに行け、カインズが呼んでいる」


「は?ギルマスが?俺を?ギルマスに呼び出されるような覚えはねぇんだが・・・まぁいいか・・・・・」


 二日酔いの頭を押さえてギルドに入るとカウンターの事務員に奥の応接室へと通された。なんで応接室?こんな所入ったの初めてだぞ?本当に意味が解らん。


「昨日はご苦労だったな、ブルート。呼び出したのは報酬の事なんだが・・・まぁなんだ、これにサインをしてくれ」


 応接室に入るとギルマスが既に待っていて、席に座らされてお茶と一緒に書類が俺の前に置かれた。


「は?報酬ってそんな直ぐに出るもんじゃねぇだろ?何時も二、三日は掛かるじゃねぇか。それに書類にサインってなんだ?そんなの今まで・・・・・ってマジかこれ?なんであいつ・・・・・」


「アインから聞いたのだが『お金では買えないものを沢山貰った』からだそうだ。受け取ってやるといい」


 手に取った書類は譲渡書だった。書かれていたのは今回の報酬の全てを俺のパーティに譲ると言った内容だった。


「あの馬鹿野郎・・・帰って来たら飯奢るって言ってたじゃねぇか・・・それなのに・・・・・」


 目頭が熱くなった。俺はギルマスに解ったよ、と答えてペンを受け取り、ぼやけた視界で書類にサインをした。帰って来たら飯は俺が奢ってやらねぇとな。それと町の案内をしてやろう。戴して見る所なんて無い町だけど、『これがお前の守った町なんだぞ』ってな。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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