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 転移と休憩を繰り返す事半日。僕は王都らしき街の見える山に潜んでいた。


「王都入りは明日にするとしてだ・・・おい、あれが王都で間違いなんだな?」


「・・・・・ぉ・・・ぉぅとに、まちがぃぁりません・・・・・」


 転移酔いですっかり大人しくなった連中の拘束を解いて転がしておき、焚火を焚いて収納から出した食糧で適当に夕食を摂った。師匠みたいに魔導具のコンロとか買っておけば良かったな。


「お前等も食うか?腹ん中空っぽだろ」


「・・・ぃえ、ぉきづかぃなく・・・・・」


 夕日が山の向こうに消えて行く。僕は思っていた以上にこの国の問題は深刻だと感じていた。


 夕闇に消える前に見た王都の防壁は低く掘りも無く。戦所かちょっとした魔物の氾濫からすらまともに防衛出来るとは思えなかった。ノルドの町以下、モンタナと同等程度の防壁で本気で国を護れると思っているのだろうか。


「何故・・・何故拘束を解いた・・・・・」


「ん?ああ、やっと回復したか。ほれ、こいつは返しとく」


 焚火を眺め、炎の揺らぎを予測しつつ魔力操作の訓練をしていると回復した連中の一人が声を掛けて来た。あれだ、ナイフ隠してた一番偉そうな奴。


「武器を返す意味も解らないって顔だな。立ちな、教えてやるよ、そんなもんが何の意味もなさないって事をな」


「な、何を言って・・・・・」


「七対一だ。遠慮なく掛かって来ていいんだぜ。師匠の『神に認められた技』を持つ男が如何言う存在なのか教えてやるよ」


「「「「「ぎゃあああぁぁぁぁああぁぁぁ!!」」」」」





「も、もう勘弁して下さい・・・・・」


 で、軽くもんでやった訳だが物の五分で倒れて動けなくなった。下手すりゃ成りたての冒険者にも負けるんじゃねぇの、こいつ等。


「チッ・・・使えねぇ奴等だなぁ。おい、お前等そんなんで国民守れると思ってんかよ」


「あ、いや、我々の役目は伝令ですので、その・・・・・」


「戦わなくていいと?そんな言い訳が通ると思ってんのか!高い給料貰って偉そうにしといて、いざ敵が攻めて来たら後は宜しくなんてケツ捲って逃げんのか?!軍人としてそれが許されると思ってんのかよ!!」


「「「「「ヒイイィィィ!」」」」」


「チッ!胸糞悪ぃ奴等だぜ。とっとと寝ちまえ、明日は朝一で出るんだからな」


 身を寄せ合って眠る連中に苛立ちを隠せず、この国の軍人の大多数が彼等と同じような状況なのかと嘆息した。


 戦えない兵士に何の価値が有ると言うのだろう。単なる税金の無駄遣いでしかなく、居るだけで国民の負担でしかない存在に。


 翌早朝。先ずは転移で防壁近くの雑木林へ移動。流石に大分慣れたのか連中が吐く事も無く朝食を摂る事に。こいつ等に食わせてやる義理は無いが丸一日何も食べていないんだしとパンと肉を分けてやった。


「さて、ここからはあんた等先導で行くぞ。名目上は『連れて来た』形にしないと面子が立たないだろうしな」


「・・・・・ご、御配慮頂き感謝致します」


 と、言う訳で街道に出てからは俺を取り囲む形で王都へと向かった。


 高さ3mしかない防壁に付けられた木製の門。一応門番は居るが止められる事も無く会釈されただけで中に入った。あの薄っぺらい門じゃ猪の突進でさえ受けきれないだろう。


 ノルドで起こったスタンピード。あの規模の氾濫が起こった時、この街は成す統べも無く陥落し廃墟となるだろう事は明白だった。


 今までは〝偶々〟平和だっただけだと言うのに、国王以下全ての貴族も、国民の誰一人この在りように疑問を持っていない事が問題だと、寧ろ国防を担う兵士達の為体に怒りを覚えた。


 目抜き通りの先に見える王城は・・・いや、城じゃないな、あれは宮殿だ。防衛の事なんて欠片も考えていない創りの見栄えだけの建物に腹が立つ。


 バレリー領都のリボルテと比べれば比べる程、国民の安全と生命を蔑ろにしたこの街が気に入らなかった。


 宮殿を目指して進んで行く。自分達が如何に愚かな行為を繰り返してきたのか解らせてやると、握った拳に力が入った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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