101
「はい、爺ちゃん。お菓子はあたしが作ったんだ」
「お茶は私が淹れたんですよ。お夕食の準備もしていますから食べて行って下さいね」
「おお・・・それは楽しみだ・・・・・」
「あの頃私達がまだ小さかったためにお料理が出来なくて・・・・・」
「あたし達勉強して爺ちゃん達のお墓にお供えしてたんだぜ」
「そうかそうか、二人共優しい良い子に育ったな」
和やかな時間が過ぎて行く。僕は極力会話に参加せずに幸せそうな笑顔の皆を眺めていた。
「如何でした?お爺様」
「うむ、とても美味であったぞ。二人共良く勉強したな」
「有難う御座います」
「よかった。あたしは料理よりお菓子の方が得意だから心配だったんだ」
「いやいや、どれも店を出せる程だったのだ、自慢してよいぞ」
「お店かぁ~・・・・・」
「私は趣味で続けたいから仕事にはしたくないかな?」
「領主様、そろそろ」
夕食も終わり余り遅くなってもと領主様に声を掛けるとディアナとミネルバの表情が曇った。
「うむ、二人とも馳走になったな。また会いに来る故そのような顔をするでない」
「本当か、本当にまた来てくれるんだな」
「本当ですか?!」
「ああ、勿論だとも。さて、パンドラ殿、頼みたい事が有るのだが宜しいか?」
「あん?頼みたい事?余程の事じゃなきゃ構わねぇって言うか、俺に可能なら何でもするぞ」
「其方ならそう言ってくれると思っていた・・・それで頼みと言うのは・・・・・」
領主様の表情が祖父から領主へと変わりパンドラさんに今バレリー領の立場や抱えている問題を話し始めた。
*
*
*
「ただいま~」
「おかえり~・・・ここんとこ連日遅いけど何かあったのか?」
「ん~、別に何かあった訳じゃないけど、なんとなく今やるべき事が解かったのよ」
「は?何がだ?何が解ったってんだ?」
「あたしが、あたし達が転生した理由よ」
「そりゃぁもう解決したんじゃねぇの?錬金術師は倒したんだし」
「それは前にも言ったじゃない、私が『ハンス』である必要は無かったって」
「じゃぁなにか、まだ何か起こるってのかよ」
「ええ・・・私が『ハンス』として・・・いえ、パンドラさんの過去を知っていて、魔導具職人が必要な事態がね」
「ふぅ~ん・・・・・そんな事態が起こるなら、次の休みに良い所に連れて行ってやるよ」
*
*
*
なに、監視衛星が増えただと?
はい。発見される可能性が有りましたので現在は観測装置の稼働を止めております
我々の存在を感づかれたと思うか?
いえ、これまでの行動からそれは無いかと
ふむ・・・・・仕方ないか・・・これまでのデータだけで解析を続けよ。観測装置は何時でも再稼働出来るようにしておくのを忘れるな
監視衛星のジャミングかハッキングはなさらないので?
ばれれば全てが水の泡になる。余計な事は考えるな
はい、畏まりました
*
*
*
「成程ね。それじゃ何か有ったら直ぐに動けるようにしとくわ」
「面倒を掛けるな。この礼は必ずするので宜しく頼む」
「いいって。お前はディアナとミネルバの爺さんなんだし、俺達ゃ家族みたいなもんだ。遠慮とか礼なんていらねぇよ」
パンドラさんが協力してくれる事になり一安心していると
「お兄様、この件は私達に任せて頂けませんか?」
「兄ちゃんは向こうじゃ神様なんだから、聖地のメルクリウス以外で姿を見せない方が良いと思うんだよ」
ディアナとミネルバが自分達に任せて欲しいと言い出した。
「あ~・・・そうか、それもそうだな。つーか、お前等エルドラに良いとこ見せたいだけだろ」
「うっ・・・そ、それは否定しませんけど」
「いいじゃん別に・・・・・」
「まぁやり過ぎなければ構わないぜ。お前達の好きにしな」
「ほんとか?!」
「有難う御座います、お兄様」
「って事だけど、構わないか?エルドラ・バレリー伯爵様」
「こちらから頼んでおいて不満なんぞ言える訳なかろうよ。二人共、宜しく頼むぞ」
「「はい」」
という訳で、何かあった時にはパンドラさんじゃなくてディアナとミネルバの二人が駆けつけてくれる事になった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




