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「・・・・・これがパンドラ殿の創り上げた国か・・・・・」


 パンドラさんの家の前で呆然と立ち尽くした領主様は周囲を見渡した後にぽつりと溢した。


「はい。性別や身分や種族等の見た目からくる差別は無く、税も取らず、犯罪も殆ど起こらない、あの頃アスタル陛下が夢見た世界が実現された理想郷とも言える国に御座います」


「そうか・・・あのバカ息子の代わりに叶えてくれたのか・・・・・」


「本人はライオネル様に対する当て付けだと言っておられましたが」


「フッ・・・パンドラ殿らしい言い訳だな・・・では、参るとしようか」


「はい」


「「いらっしゃいませ、パンドラ邸へようこそ」」


 パンドラ邸の扉を開けて領主様を屋内へと入れると、ディアナとミネルバがカテーシーで領主様を出迎えた。


「・・・・・覚えていてくれたのか・・・二人共大きく、美しくなったな・・・・・」


「お爺様!!」

「爺ちゃん!!」


 感極まって領主様に抱き着くディアナとミネルバ。領主様の目尻には涙が溢れていた。


「二人共、気持ちは解るがその辺にしとけ。良く来てくれたなアスタル・・・いや、今はエルドラさんだったな」


「パンドラ殿・・・・・」


「言いたい事は大体解るが取り敢えず奥で話そうや。ディアナ、ミネルバ、お茶の用意を頼む」


「「はい」」


 奥から出て来たパンドラさんに促されてリビングへと通された。


*


*


*


「ジンよ、パンドラ殿が置いて行ったその建物はなんだ?」


「ん?この建物の中には転移魔法陣が入ってんだ」


「ほう・・・我も使ってみたいのだが、入り口はもう少し大きくならんのか?」


「使ってみたいって、今んとこ行先はパンドラの所だけだぞ?お前があいつの所に遊びに行くってのか?」


「ただ単にあの男が創った街を見てみたいだけだ」


「だったら次にあいつが来た時にでも頼んでみるんだな。俺にはどうする事も出来ねぇ」


「何だつまらんのう・・・あいつの街はどっちだ?近いのなら飛んで行くのだが」


「詳しい場所なんてわからねぇよ。西の方だって聞いたけど、海のど真ん中らしいし、見つけられるとは思えねぇぞ」


「そうか・・・仕方ない、次にあ奴が来た時にでも聞くとするか」


「ぜひそうしてくれ。お前が突然向こうに現れたら絶対騒ぎになるからな」


*


*


*


「先ずは座ってくれ。さて、何から話したもんか・・・・・」


「では私から。マルス殿から聞いた、我が愚息が迷惑をお掛けして申し訳なかった」


「いや、その件に関しては俺からも謝らないとな。つい最近転生したライオネルに会ったんだ・・・・・俺は、お前の息子を二度も殺した、一度目は見殺しに、二度目は記憶を消すと言う形でだ。済まなかった、助ける事も出来たんだ・・・でも、俺の個人的な感情で消しちまった・・・・・もう、あいつが生まれ変わる事は無いだろう・・・・・本当に済まなかった」


「止めて下され。全てはあ奴が下らない思想や権力に取り憑かれ、恩も忘れて仕出かした事。パンドラ殿が謝る事等無いのだ」


「だが・・・・・」


「その気持ちだけで十分なのだ。其方が何も変わっていなかった事が私にとっての救いになる。五百年近くも経っているのだろう?」


「それもお前とミランダ、後ジェラルドのお陰だ。俺の為にガーランド家を残してくれた。それと、これも最近気付いたんだが、あの二人が他の精神生命体とは違っていて短命種としての『人』の心を持っているのはお前達が自分の孫同然に接し、育ててくれたからなんだってな。お陰で俺は変わらず『人』として生きていけてるんだ。心から礼を言うよ、有難う」


「お兄様!」


 パンドラさんと領主様がお礼を言い合ったり謝罪し合ったりしていると、お茶の乗ったトレイを持ったミネルバさんが部屋に入って来るなりパンドラさんに怒鳴った。


「な、なんだよ」


「久しぶりに会ったお爺様を困らせないで下さい」

「そうだぞ、せっかく会いに来てくれたんだから楽しんで貰えなかったら来た意味無くなっちゃうだろ」


 ミネルバさんの後ろにはお茶菓子の乗ったトレイを持ったディアナさんがいて二人でパンドラさんに注意しだした。


 僕はこの二人がパンドラさんに反抗的な態度を取った所なんて見た事無かったし、取るなんて思いもしなかったからもの凄く驚いた。


 その様は何処から見ても仲の良い兄妹と言うか『家族』その物で、この二人が居れば何が有ってもパンドラさんが狂気に走るような事は無いだろうと言う安心感と共に、だとしたら僕等は何のために転生したのだろうかと言う不安に駆られたのだった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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