99
「出来たぞ、使い方教えるからこっちに来てくれ」
「おう。しっかし相変わらずふざけた能力だな」
「まぁな。俺自身このクリエイト能力は反則だと思ってる」
「ずっと不思議に思ってたんだけどよ、水魔法で作った水は時間が経つと魔力に戻っちまうだろ?何でお前が作った物は戻らねぇんだ?」
「まぁ簡単に言うとだな、構成物質を原子レベルで理解してるからだ」
「それ全然簡単じゃねぇから。あれか?原子同士の繋がり方とかか?」
「それもだけど原子自体の形状とか、そう言った物を全部魔力で作れればってこったな。ああ、うちでこれが出来るのは俺以外だとミネルバとディアナだけだ。あの二人ですら小物程度だから普通の人間じゃ先ず不可能だからな」
「いや、出来りゃ便利だとは思うけど練習する気も起きねぇよ」
「ま、練習するだけ無駄だしな。ははははは!」
*
*
*
「お父様、トーラン様、婚約の件お受け致します」
「マーガレット様、宜しいのですか?」
「マルス様の覚悟を見て私も動かなければと感じました。トーラン様、私に何が出来るか解りませんが、共に領地を盛り上げてまいりましょう」
お嬢様が席を立ち、トーラン様の手を握った。
「さて、これで我がバレリー領とルクサイア家の同盟が成った、後は国の出方次第だがおそらくは戦になるであろう。攻めて来るとすれば我が領地の北からになる。ボーロ、何時でも出られるように編成を頼む」
「ハッ!」
「マルス殿、例の面会の件だが―――」
「今直ぐに向かいましょう」
「いや、しかし・・・・・」
「あの方でしたら必ず力になってくれるでしょう。そしてこの地を平和へと導いてくれる筈です。今は手段を選んでいる時ではありません、違いますか?」
「・・・・・そう、だな・・・受けた恩は後に返せばよいだけか・・・トーランよ、今日は泊っていけ。ヒギンスは部屋の用意を。私はマルス殿と出掛けてくる故後の事は・・・ベルモンド、お前に任せる」
「お任せ下さい父上」
「お言葉に甘えさせて頂きます。何方に行かれるのか解りませんが吉報をお待ちしております」
「うむ、では参ろうかマルス殿」
「はい」
領主様の手を掴んで転移でパンドラ国へと飛んだ。多少大袈裟な事になってでもこの地を守らないとな。
*
*
*
「ちょっとハルんとこ行ってくるわ」
「行ってらっしゃいあなた」
パンドラが帰った後、どうにも気になって宮殿へと向かった。
「ジン様、如何なさいました?」
「ハルに会いてぇんだけど、忙しいならアンジェリカでもいいんだが面会出来ねぇか?」
「直ぐに確認を取って参りますのでこちらへどうぞ」
最早フリーパスとなった城門を抜けて城内の待機部屋で待つ事十分。迎えが来て応接室に入るとハルとアンジェリカの二人が待っていた。
「悪いな、忙しいとこに」
「いや、お前が突然宮殿に来ると言う事は何かが有ったと言う事なのだろう?ならば最優先で対応せんとな」
「ああ、まだ確定じゃないんだけどな。出来たらセリーヌちゃんと話がしたい。正確にはセレネ、だったか?」
「娘と?と言う事はパンドラ殿絡みか・・・直ぐに呼んで・・・いや、こっちから向かった方が早いな」
ハルとアンジェリカについて宮殿の中を進み、セリーヌの部屋に向かった。
「あ、お父様、お母様・・・ジン様・・・・・何かありましたか?」
「やあ、ちょっと聞きたい事が有ってさ。何か制約とか有って話せないならそれでも構わないんだけどいいかな?」
「それはセリーヌとしてではなく、セレネの持つ知識についてですね?」
「ああ。ケントとライラ以外にも転生者が二人判明したってパンドラに聞いたんでな。それで、転生ってのはどれ位の確率で狙って出来るもんなのか気になってな」
「ほぼ不可能です。私の場合は準備期間だけで十五年の歳月を要しましたが、それでも一割に満たない確率でした」
一割以下かよ。って事は何者かの意思が介入してるのは間違いないな。
「運が良かったって事か・・・・・なぁ、魂って何なんだ?知ってる事が有れば教えてくれ」
「私よりもパンドラ様にお聞きした方が良いかと。あの方は〝大いなる意思〟に最も近く、この世の〝理〟の一部を手に入れたお方ですから」
大いなる意思ね・・・パンドラを狙ってる奴が居て、あいつを助けるために知り合いを転生させてる可能性が高いな。
「そうか、今度あいつに聞いてみるわ。邪魔したな」
「いえ、お力に成れず済みません」
セリーヌの部屋を出てハルとアンジェリカに「またな」と言って家に帰った。気に入らねぇな・・・神か何だか知らねぇが何で自分でやらねぇ。何人も転生させる力が有るなら悪党の一人や二人消す位造作も無いだろうに。
それとも何か別の目的が有って当事者達にやらせているのかと無い知恵を絞ってみたが答えなんて出やしなかった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




