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霊感小女 〜アヤミの物語〜  作者: じゅんとく
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過去 〜幼少期

〜休日…


彩未は引越した荷物の整頓を行なっていた。使う物を箱から出す作業を行なっていると…箱の中に1つの写真立てを見付けた。彩未は写真に写っている幼い自分と、その横で笑っている女性の姿を見つめる。


「ママ…」


彩未は女性の姿を見つめながら自分の過去を思い出した。



〜6年前


まだ…小さかった頃だった。彼女の産みの親であり、母親の田中友美と一緒に家に居た頃。彩未は毎日誰も居ない部屋で誰かと話をしている事があった。

そんな彩未の様子を、あまり好意的に見ない友美は少し不安に感じて居た。


「彩未、何時も誰と話ししているの?」

「ミカちゃんだよ。前にここに住んでいたんだって。でもね…窓から落ちちゃったんだって…」


それを聞いて母は少し驚いた。


「ねえ…彩未、この家には私達3人しか暮らしていないの…だからミカって言う子はいないのよ、見えない子の事は気にしてはダメよ」

「でも…ママ、ミカちゃんが私に話し掛けて来るよ、近いうちにパパが事故に遭うとか…」


彩未の言葉に友美は、背筋が凍る思いがした。


「彩未、いい加減にしないと、ママ怒るわよ」

「はい…」


少し残念そうに彩未は答える。

ある日の事だった。彩未は夕食の支度をしている友美に話仕掛ける。


「ねえママ、パパがね…ママにさようならだって言ってたよ」

「何言っているの彩未、パパは…まだ仕事から帰って来てないわよ」

「でもね、今…あっちに居たよ」


友美は、そう言われて彩未の指した方を見る。彩未の指した場所は壁で、その向こう側は外だった。


「こら…彩未、悪い冗談は辞めなさい」

「だって…」


彩未が何か言おうとした時、突然電話が鳴り響いた。友美は電話を受け取る。

電話口で話を聞いて居た友美は、突然…何か大切な物を失ったかの様に崩れ落ちた。


「そんな…あの人が…」

「ママ…」


母親が涙を流している姿を見て彩未は、友美の側へと行く。

友美は彩未を抱きしめて、涙を堪えて言う。


「パパが…パパがね…」


それ以上、友美の口からは言葉が出なかった。



大切な主人を事故で失った。小さな子供を連れた若い女性は、旧友を訪ねて、老舗の飲食店に住み込みで働く事へと決めた。

彩未は保育園に通わせ、友美は時間に追われる日々を送っていた。


「ママ…私、ここ好きじゃない」

「ワガママ言うんじゃありません」

「だって…イヤな感じがいっぱいするの…」


その言葉に友美は不思議な感情を覚えた。

小さな部屋で生活する母娘は、僅かながらの収入でなんとか生活をする。

その頃、彩未の体に少しずつ異変が現れた。夜中、隣で眠っている彩未が苦しそうに呻き声を上げているのに気付いた友美は彩未を起こす。

彩未の体を見ると体中に、引っ掻き傷が無数見つかる。


自分でやったのかと母は思ったが…背中まで傷が見つかり、見えない何かが彩未に纏わり付いているのだと感じ始める。

母は幼い我が子に何があったのか尋ねると…


「ここには怖い人が沢山いる」

と、怯えながら答えた。


それからしばらくして飲食店が火事になる…友美と彩未は皆と一緒に逃げ出し無事助かった。この時…建物の中には彩未の入学祝いの為に買って置いた新品のランドセルが残っていた…。彩未はランドセルを背負う事無く失った。

ほぼ…無一文の状態での生活をする事になった母娘は、安いアパートでの生活を送る事になり、彩未は友美の知人のお下がりのランドセルを背負って入学式を迎える事になった。


娘の事を思って友美は、知人を通して滝川と言う男性と知り合い再婚し、彩未の姓は田中から滝川へと変わった。


滝川家の新しい家族となった母娘は、中古住宅を購入して暮らす事となった。


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