1話 機械の娘へと転生
井戸 イルトと申します。
まだまだ初心者ですがもし面白いな!もっと見たいな!と思いましたらブックマークなどをよろしくお願いいたします!
俺は人生に疲れた。学校ではいじめられ、親からも信用されていない。じゃあ此処から飛び降りて、死んで来世に期待すればいいんじゃないか。
と俺はビルの屋上そんな馬鹿な事を考えていた。
だがそんな馬鹿だと思っていて事を俺は無意識にやっていた。
その瞬間正気に戻った。
「あ······俺···何やってるんだ」
そして、俺は地面に強く打ち付けられ、そのまま意識を失った。
あれから何時間、何日掛かったかわからない。だがどうやら俺は生きているらしい。
そして目を開けるとそこはよくラノベとかで見る、異世界だった。
「556、君は今日から私の奴隷だ。」
そこにはいかにも貴族らしい人が居た。
「奴隷?何故私はお前の奴隷にならなくてはいけない。」
「何故って、お前は私に買われたのだよ、いわゆるご主人様だ。ご主人様の言う事は何でも聞く、それが君たちドワーフによって作り出されたロボット『ガラード』の役目だろだろ。」
ドワーフ?ロボット?俺は何を言っているか分からなかった。
「奴隷?嫌だね、ガラードだかなんだが知らないけど、奴隷にはなりたくないね。」
すると、貴族の様な人は、顔を真っ赤にして怒鳴り、俺を殴りつけ、ゴミ捨て場の様な所へ捨てていった。
捨てられた後は本当酷かった。金は無いわ、体は臭う、夜は寒いなどでかなりきつかった。
こんな事になるならあの貴族の様な人の奴隷になってれば良かった。と不覚にも思ってしまった。もうあんな事にはなりたくないのに。
そう後悔して、路地裏で座り込んでいる時、一人の赤髪の男性が話しかけてきた。
「何でガラードがこんな所に。」
「……」
「何か事情がありそうだな。俺に話してみろ。」
「……捨てられた。」
「ガラードを捨てる?!そんな勿体ないことするやつ居るんだな。」
「……私って高いの?」
「やすいものでも金貨50枚ぐらいだな。」
金貨50枚どれほどの価値があるかわからないが、その人の話を聞く限り、俺は相当高い様だ。
すると右上に光の玉の様な物が現れ話しだした。
『大金貨1枚は金貨20枚分、金貨1枚は銀貨50枚分、銀貨1枚は銅貨20枚分となります。』
「誰?!」
『私は、ガラード 製造番号Ζ_556です。ちなみに私には声を出さずとも、伝わりますので。』
「どうした、急に。」
「あ……いや……何でもありません。」
急になんだ、びっくりするじゃないか!
『貴方が、知りたそうにしてましたので。』
ていうか556は俺じゃないの?もしかして俺のスキルとか!
『貴方は私が作られるときに、不正に入り込んだ物、いわゆる異物です。本当は私がこの体の所有権を有していました。』
あ……なんかすみません。
俺がスキルだと思った物はこの体の本当の人格で、俺が異物だと言われ少しショックだった。
『謝る事はありません、むしろ貴重なデータを取れました。それは私の推測ですが、貴方は人間の魂が私の体に結びつきこの様になったと思います。』
……そう……それなら良いんだけど。
『あまり、落ち込まないで下さい。あと、隣の人が戸惑っています。』
俺はすっかり話しが積もり、隣の人の事をすっかり忘れていた。
「……遅れたけど、俺の名前はガイルだ。お前の名前は?」
「え……あ…な、名前?名前……無い……」
「名前ないのか?!じゃあ本当買われて直ぐに捨てられたのか。」
「……」
「そうだ!俺、ギルドパーティーのリーダーやってるんだ、もしお前が良かったら、俺のギルドパーティーに入らないか?」
「……良いの?」
「当たり前だ、俺の仲間もきっと良いと言ってくれるはずだ。」
とガイルは手を差し伸ばしてた。
「……よろしくおねがいします。」
そして俺はガイルの手を取る。
「任された!」
裏路地から歩いて約15分後。付いたのは冒険者ギルドと書いてある看板のある店だった。
「付いたぞ、此処が冒険者ギルドだ」
中へ入り、ガイルは仲間の所へ俺を連れて行った。
「皆、新しい仲間がこのギルドに入ることになった。」
ガイルの仲間達が驚いた様な顔でこちらを見ている。
「私の名前はリーシエ、このパーティー男しか居なかったからつまらなかったのよね、よろしく。」
最初に話しかけてきたのは、リーシエと名乗った女性だった。
リーシエはローブにステッキ、首には赤い宝石の付いたネックレスをした魔法使いらしく金髪で可愛らしい見た目だった。
そもそも俺って見た目は女だったのか。
『はい、製造番号Z_556のボディーは女性の見た目です。こちらに、貴方の見た目を表示します。』
そして556が光の玉から、幼女の体に変形した。その幼女は銀髪で濁りの無いとても綺麗な青色の目をしていた。その容姿とても可愛らしく、実際自分に惚れてしまいそうだった。
そんな事を考えている暇はなく、ガイルの仲間達がどんどん話してくる。
「俺の名前はゴーライだよろしくな、ガラードの嬢ちゃん。」
ゴーライは髪は無く、背中に大きな斧を担ぎ、とても筋肉が多く、起動力を上げるためなのか多少露質があった。
「私の名前はヨシマサと申します、以後お見知りおきを。」
ヨシマサは、髪は黒く、袴姿で、礼儀正しいく、腰に日本刀を付けている。それは江戸時代の頃の侍の様な姿で日本人にしか見えなかった。
「ヨシマサはニッポンのお江戸という所から来た異国の住人だから、あんまり見ないかもしれないけど気軽に接してやってくれると助かる。」
とガイルがヨシマサの説明をした。
ていうかこの世界にも日本という国はあったのか、1度でいいから行ってみたいな。
「ということで俺たちの紹介は終わった訳で、こいつにも、自己紹介をしてほしいのだが、こいつは、買われて直ぐに、捨てられたらしい。だから名前も無い、だから皆に決めてほしい。お前もそれで良いよな?」
「え……あ、う…うん!」
そこから俺の名前を付けるのに2時間程かかり、ようやく決まった名前が「ティーシャ」だった。
その間に俺は556の名前も考えた。
556だからこころとかかなり安直な名前を考えたがかなり気に入り、556は「こころ」という名前になった。
「じゃあ名前も決まったことだし、冒険者登録するか。」
そして連れて行かれたのはカウンターでそこには若い女性が居た。
「こいつを冒険者登録したいのだが。」
「はい、冒険者登録ですね、少々お待ち下さい。」
そして持ってきたのは、大きな石版だった。
「これに触れると貴方の魔力数値やスキルが出ますので早速触れてみて下さい!」
そして俺はその石版に触れ石版は光りだした。
「え?!凄いです!魔力数値は普通ですが、ここまでスキルを持っているとは思いませんでした!」
「え?!どんなスキルを持っているんですか?!」
俺は胸が高まり、興奮してしまった。
「えっと…名前はティーシャ様、種族はガラード、スキルは未来予知、思考加速、並列演算とここまでは普通のガラードが持っているのですが光化学迷彩、エネルギーショット、モード変更、アシスト、あと心…これは普通のガラードは持っていない特殊能力です!」
「……」
俺は興奮を通り越して、もう放心状態になってしまっていた。
そして横に居たガイルがとても驚いていた。
無理も無いだろう本人の俺だってこんなに驚いてしまっているのだから。
そして冒険者登録は終わり仲間の所へ行き、その事を話した。
案の定皆驚いていた。
「すごいじゃない!ティーシャ!」
「あぁ本当にすげーな!ティーシャ!」
「正直とても驚きました。」
「よし!じゃあティーシャがこのギルドパーティーに入った事を祝して今日はとことん飲むぞー!」
「「「おー!!!」」」
やった!酒飲めるのか!
『喜んでいるところ申し訳ございませんが、ガラードは基本的お酒は飲めません。』
嘘だろ、異世界に来て酒すら飲めないのかよ!
『はい、ちなみにですが炭酸飲料全般は飲めません。』
……
俺は落ち込んだ、何で酒飲めないんだよ!!!
そんな事もあり、皆が酒を飲むのを羨ましそうに見ながら、俺がこのパーティーに入ったのを祝福する会は終わりを遂げた。