初めての野営
辺りの陽が傾き始めた頃。
皆で野営の準備をし始める。
従者と冒険者は協力して馬車の荷台に置いてあるテントや薪を運び出す。
テントは三角形の形をした安易で小さな物が2つ。
そして薪に火を付ける物はどうするのかというと、キリスの手荷物から取り出した赤い魔法石で着火させた。
確かあれは【赤魔法石】って言ったっけな。
生活魔法石の一種で、魔力を流すと誰でも小さな火を起こす事ができる物だ。
近い所で前世でいうライターだな。
しかし、あんな便利な物があるのならガスコンロとかあっても良さそうなものなのに我が家は未だ薪である。
なので火元を使う時はなかなか離れられず、火加減の調整なども難しいのだそうだ。
しかし何で作れないのだろう?理由があるのかな?
今度調べてみよう。
おっとご飯の用意ができた様だ。
とはいってもそんな大したものではない。
こういった時の食べ物は温度関係なく、それなりに保存が効くものだ。
一般的だと硬いパンをスープに浸して食べる。だがここは伯爵。
シャルべ領近くの川で取れた魚の干物をなんと人数分用意していた。
「いいんですか?」
「構わないよ。ただ焼くのだけは任せていいかな?」
「か!感謝します!」
さぁ、従者と冒険者合わせて7人で焚き火を
囲み、焼いた干物を食べる。
塩味が効いた干物は普通に美味しく、皆満足した。
そして食べ終わったのを確認すると、父さんがまたスゴロクを馬車から取り出してきた。
またと言うのはここまでの道中に父さんがスゴロクの面白さにドハマリし、挙句に2人で遊ぶのも良いが、多い人数でやればもっと面白いと言ったら冒険者まで馬車に招き入れ何度もやらされたからだ。
正直スゴロクというのは「一回やればもういいや」なんて思ってしまいがちな人も多いかもしれない。
けどこの世界には元々道楽的ゲームという物がなかった影響と、理由はもう一つある。
この俺がイメージしたこのスゴロクは「リプレイモチベーション」をテーマに作られた物なのだ。
つまりどういう事かと言うと、「もう1回プレイしよう」そうユーザーに言わせるために、ゲーム時間を短縮し、敗北感を軽減するという、勝敗を決するルールを揺るがす「バランスブレーカー」いわば運でいきなり勝ったり、逆転したり、勝敗そのものが大きく動く仕掛けを取り入れた人生ゲームなのだ。
また特殊アイテムカードなどで行く道を妨害したり「周回を重ねるとお金が貯まり、そこにプレーヤーが止まったら総取り」など、多種多様な遊びたい方もでき、何周回っても飽きをおこささない様にもしている。
ここまで言うと傑作なスゴロクの様に思えるが、一歩間違えれば糞ゲーとも言われるこのルール。
だがそれこそ中毒性もあるというわけだ。
話が長くなってしまったが、そのお陰もあって皆んなと仲良くなれたし、皆んなハマってるから良しとしよう。
ってか今考えたらトランプとかオセロでもよかったんじゃね?
なんでこんな一回やったら長くなるような面倒なスゴロクなんて作ってしまったんだろう‥、
まぁトランプやオセロは今度作るか。
しかし何も起こらないな。本当に護衛いるのかコレ?
〇〇
皆と遊び終え、そろそろ眠りにつこうという事となり、冒険者2人を見張りで残し、後のメンバーは眠りにつこうとした。
だがその時である。
俺を残して皆がバタバタと崩れる様に倒れたのだ。
え?何!?