一話
どんなジャンルが伸びるかとか何人称がいいかとかいろいろ試してます。
王国の聖女、それがリリーシアの肩書である。
リリーシアは8歳の頃に王国から聖女に見初められた。
生まれ育った伯爵家から城の施設に引き取られ、聖女に相応しい教育を受け始めたのはその一か月後。そこからの7年間、友人と遊んだり家族と過ごす時間は皆無で、学園で学ぶような数学、歴史や語学といった教科別の勉強に加え、来る日も来る日も聖魔法の訓練を受け続けた。
教育が始まった初期は、逃げ出そうと試みたり授業をさぼってみたり…様々な方法で、いつか呆れられて解放されるかもしれないという淡い期待の元、反抗に反抗を重ねていた。
しかし1年もすればその気力も無くなり、もはや感情のないロボットのように淡々と教育を受け続け、結局15歳になるまでその教育は続けられたのだった。退屈の中にどのようにして娯楽を見出すかに命を懸けた結果、書物を読み漁る魔法オタクとも呼べる存在が出来上がってしまっった訳だが…。
リリーシアは15歳になり、17歳になるまでの2年間の自由を許可された。しかしながら、リリーシアは自由になったからと言って年齢相応の生活をしていたかと聞かれれば否である。
聖女教育が終わるや否や、自由という言葉に強い魅力を感じていた彼女は俗に言う冒険者稼業を始め、訓練で培った魔法を駆使することで多くの功績を残した。
何せリリーシアは歴代聖女の中でも魔法の才が傑出しており、高難度な依頼ですら1日もあれば達成してしまうという何とも人外的な力を見せつけるほどであったのだ。E~Aまでのランク付けが存在する冒険者の中で、リリーシアは1年という異例の速度でAランクにまで上り詰めた。
年頃の女子は茶会や夜会に出席して世間話に花を咲かせているというのに、リリーシアは溜まった鬱憤を晴らすかのように、自身の魔法技術を惜しみなく魔物との戦闘に振るい、そのあまりの美しい容姿、戦い方から、次第に金色の美姫という小恥ずかしい異名まで付けられ、不本意ながら王国の冒険者の中でも注目を集める存在へと成り果ててしまったのだ。
と、ここまではいいのだがリリーシアの魔法力は少しばかり常軌を逸していた。国立図書館で得た知識も相まって、もはや並みのAランク冒険者ですら見たこともないトンデモ魔法を使い始め、山を一つ消し飛ばすほどの威力の魔法を軽々使い始めた頃には畏怖の対象としてみられるようになってしまっていた。
そう、彼女は強くなりすぎてしまったのである。
これはそんな、天真爛漫な無敵の金髪美少女、リリーシアが国立第一高校へと入学することから始まるちっぽけで至って平凡な王国で起きてしまった悲劇(?)の物語。
てすとてすと