第一章 異世界へようこそ
調べものはやっぱり本屋かな?
とのことで、ユナに本屋はあるのか聞いたところ、ここには市場に行商で売りに来る以外は小さな古本屋くらいしかないそうだ。
当然ここだと図書館なんていう、便利な施設もない。
そんなわけで、近くにある古本屋にまずは来ている。
「この世界の情報が、ちょっとでも必要や!」
というわけで、ユナにも歴史関連やら色んな本を探してもらっている。
ちなみにユナにもこの世界のことを聞いたが、この世界の教育水準は、ほとんど生活のためと言ったようで、歴史や成り立ちなどは、あまり聞けなかった。
「ハルさん…いくら古本でも、かなり買い込みましたね…」
というハルの前には、本の小山が出来ている。
バングルのおかげで、重さを気にしないでいいのと、古本はかなりリーズナブルで安かったため、なかなかの大人買いレベルである。
さて、読むのは後回しに!
今度は行商の本屋を訪れた。
そこでは新書ばかりのようだが、欲しい歴史関連などは一切ない。
どうやら売っているのは、魔導書のようである。
この世界の魔法は、専門の魔道士が、本に魔法の術式や効果を書き連ね、それを読み手が指でなぞると、体得できるようである。
ただし、体得した本は消滅する。
その本の内容を、体得した読み手が、同じように本に書き写し、別の者に授けるなどは、できないようだ。
本に書き出すのも、専門の魔法ということらしい。
また、この世界の魔法は、基本色で魔法の属性を表している。
赤色は火。青色は水。茶色は地。緑色は風。黄色は雷。水色は氷。白色は光。黒色は闇。
これらが基本の8属性らしい。
高価な本のため、一般的に1〜3系統の魔法の魔法くらいしか使えない者が多いそうだ。
その本屋では全属性の初級魔法をセットが売られていた。
基本ほとんどセット売りはしないそうだが、販売の都合で半端が出たためだそうだ。
魔法を使ってみたいってのは、異世界へ喚ばれた物なら、基本誰しも思うのだろう。
「てわなわけで、おっちゃんこの初級セットよろしゅう!」
他にも市場で果物や野菜、肉に魚などの食料の他、歯ブラシなどの生活用品も購入した。
結果として、残りの残金は2万くらいである。
「財布がピーンチ…」
「それだけ買い漁れば、そりゃあお金もなくなりますよ…」
などと話しながら、二人はユナ宅の庭に出した部屋へ向かう。
まずは初級セットの本を、全て指でなぞっていく。
ページ数はそれぞれの属性に付き、5個ずつあった。
風魔法の中にあった補助魔法で、ハイリーディングなるものがあった。
どうやら素早く文字を読めるようになるというものである。
これはありがたい!
と、早速それを使い、小山状態の本を、片っ端から読み始める。
ここでハルに悲劇が起こる。
確かにかなり早く読める。
辞書クラスに分厚い本でも3分で読める。
ただし、まだ魔力の少ないハル。
そして以前クレアから、読み書きを教わったとき、魔力で頭がオーバーヒートして、倒れるハメになっていた。
今回も同様に、ハルは気絶することとなる。
情報量に、脳の処理速度がついて行かなかったようで、前回のぶっ倒れた症状に加えて、今回は知恵熱を出し、それから一晩はぶっ倒れたのであった…