第ニ章 旅は道連れ世は情け
一方一人走り出していたアリアは、持ち前のドジっ娘気質を発揮し、山林で足を滑らせ転倒。
滑って落ちた先で魔物を上から押し潰すなど、本人も痛いが魔物も不運(ある意味幸運?)な事故に巻き込みながら慌てて向かう。
最終的には鳥型の大型魔獣、コンドリアに捕まり、上空へ拉致される。
当然激しく暴れるアリア。
「は、離して下さいっ!ちょ!あぶなっ!」
捕まるときに掴んでいた石を投げるとクリーンヒット。
コンドリアの爪から逃れるもそこは上空。
たまたま城下町の真上である。
「ちょ、離せとは言ったけど、こんなと…い、いっやーーーーーーーーーーーーっ!」
アリアは絶叫とともに、ノーロープバンジーをするはめになった。
少し時間が戻り、孤児院にいたロビィとステラ。
先程までは他の子供たちと遊んでいたが、突然飛び入ってくる騎士。
少し慌てた声で、修道院の長を呼ぶ。
驚いた声が聞こえてくる。
戻ってきた長が、少し慌てながらも、みんなに荷物をまとめて、出掛ける準備をするように話してきた。
二人は先日、自分たちの村を襲われたばかりである。
その時の親など大人達の行動に、騎士や長の様子がとてもよく似ていた。
結果として孤児院の中では、逸早く異変を察知したのである。
「…おにぃちゃん…」
不安げな声をあげるステラに、安心するように、無理に笑う兄のロビィ。
「大丈夫!ここは村と違って、城壁もしっかりしてるし!」
気丈に振る舞うも、やはり以前の恐怖で、嫌な汗が背中を伝う。
まだ旅立った話は聞いていないし、ハルにぃ達もいるなら…と、淡い期待を持ちながら。
手早く荷物をまとめ、みんなで城へ向かう途中。
上空に魔獣が現れる。
慌てる孤児院の面々。
迎撃と警護の体制に構える騎士達。
そしてコンドリアが爪から何かを離し、絶叫が響き渡る。
孤児院の面々は声から誰かを判断した。
そしていつものドジっ娘気質により、こうなると瞬時に察知した。
結果、フリーズする騎士達に風魔法と水魔法を使って、落下するアリアを助けるクッションを作ってもらった。
落下の恐怖で気絶したアリア。
ここに来るまで、色々と壮絶なことがあったのだろう。
泥だらけの服は、処々裂けている。
しかし何故か怪我は一つもないようである。
騎士達にお願いし、担いで運んでもらう。
城まで辿り着いて暫くしてから、アリアは気付いたのであった。
落下時の夢を見ていたようで、慌てて飛び起き大絶叫。
何人かは、
『こ、鼓膜が…』と、うめき声をあげる始末になったのは、言うまでもない。