第ニ章 旅は道連れ世は情け
実の仕事がかなり忙しく、確定申告もあって、なかなか書けませんでした。
久々に書けてよかった!
その頃ユナとモンド姉妹達。
狩りは元々慣れてたけど、他も色々手慣れて来た様子である。
血抜き後は内臓も処理。
使わない部分は山に捨てておく。
他の魔獣達の餌になり、やがては肥料になる。
森や山が元気になると、川も栄養が増え、やがては海も元気になり、そしてまた山も潤うと、ハルの教えである。
山が潤うと、餌が豊富になるから、獣が人里に近付くことも減るし、なるべくなら山奥にいるときに済ます方が、何かと都合がいい。とも言っていた。
全て終わったあと、馬車に積み込み帰路へつく。
「今日も大漁ですね!」
「お姉ちゃんお腹空いた!」
「ほんとねー。お昼は何かしら?」
など和気藹々といった雰囲気である。
暫く進んだところである。
「何か焦げ臭くない?」
「そうね…それに何か騒がしい…急ぎましょう!」
馬に鞭を入れ速度を早めた。
ハルは魔法と剣を駆使し、魔獣の群れを斜めに突っ切っていく。
集団戦には慣れてないし、無闇に乱入し過ぎるより、騎士側へ早く合流することを目指した。
ある程度近付いたところ、一気に風魔法で弾丸のように飛び上がり、魔物や騎士達の頭上を飛び越えていく。
着地後驚いた騎士達に剣を向けられるが、人であることを確認され、矛をおさめてもらった。
「状況が状況なんで、突然驚かせて申し訳ない!何か手伝えることは!?」
一気に魔力を消費したため、息も絶え絶えに声を張り上げる。
「何方かはわかりませんが、御助成忝く。第二騎士隊隊長のサモンです。」
「こっちはハル!悠長に挨拶してる暇なさそうやし、早ぅ指示を…」
と言いながら周りを見渡すと、疲弊し倒れてる騎士達がぎっしり。
どうやら休憩所に飛び込んだ様子である。
ハル自体も魔力を消耗してる様子のため、戦場に出てもすぐに戻るハメになるのは、目に見えている。
「ハル殿も疲弊してる様子。少し休んでから、御助成頂きたく…」
「いや、それならそれでやれることやらせてもらいます!ちょっとスペース借りまっせ!」
と、強引にスペースを奪う。
十分後には、簡易の調理スペースが組まれていた。
そう。ハルはやはり料理人。
慣れた戦場は厨房である。
みんなの炊き出しを一人で始めたのである。
数日バタバタで店でけんやったから、仕込みできとる食材は仰山あんで!
と、内心思いながら、戦場では異質のいい匂いが立ち込めていく。
「とりま倒れてる皆さん!腹が減っては戦は出来ぬ!しっかり食べてってや!」
と、すぐに出せるスープや、鉄板焼きを出しつつ、おにぎりなども用意していく。
最初はわけもわからずといった様子だったが、勧められるまま食べると、みんなスイッチが入ったように、食事に群がってくる。
「…うまい…」
「温まる…」
と、疲れ切った顔に、どんどん生気が戻る騎士達。
結果として、ただ休む状態より、みんな回復が早くなり、戦場にも早く復帰していく。
一人で慣れない集団戦へ行くより、バックアップとしてみんなを支えることを選んだハル。
といっても、あまりに多勢に無勢である。
仲間達が来ることを信じ、鬼の形相で炊き出しをしていくのであった。