第ニ章 旅は道連れ世は情け
ハルは昨夜の事が衝撃的で、意識してしまうため、普通に振る舞おうとするも、余計に違和感がある動きになる。
ユナの方はいたって普通にしている。
なかなかあないにはでけんなー…
などと思いながら、次の集落へ向かう。
姉妹の方も、微妙な空気を読み取っているようで、いつもより口数が少ない。
「着くのが遅くなるので、今日はお店難しそうですね…」
ジルが声をかけてきた。
「俺のせいで申し訳ない…」
「いえいえー。そんなこともありますよ!」
などと話ながら、先を目指す。
そこから更に2日流れ、今の時刻は黄昏時といったところ。
何やら行く先から、煙が立ち上っている。
少し焦げ臭い。
何やら胸騒ぎがするので歩を早める。
近付くと、悲鳴や怒声、助けを求める声が響いてくる。
集落がゴブリンの群れに襲われている。
「あかん!早う助けに行くで!」
「「はい!」」
集落は悲惨な有様だった。
撃退自体はそんなに難しくはなかった。
ただし、数がかなり多く、短時間のことではあるが、家屋は焼かれ、畑も荒れ、半分近くが死んでしまった。
消火活動が一段落付く頃、一足先に一人別作業に向かっていたハル達。
たっぷりのスープとおにぎりを並べて、炊き出しを準備していた。
「みなさんお疲れ様です!とりあえずお腹に少しでも入れて、ちょっと落ち着いて下さい!」
最初はわけのわからないといった人達であるが、匂いに誘われ、可愛い女の子達から配膳をされると、受け取るしかない。
一口食べると、落ち着いた顔や泣き出す者。無事を確認し合い喜ぶ者など、様々といった様子である。
暫くすると、集落の長がハル達の元へやってきた。
「長のルイスです。此度は誠にありがとうございます。」
耳の長いじぃちゃんやなーと思いながら、挨拶をする。
「この度はホンマに大変でしたね。」
「こんなことになったのは、初めてのことで、私もどうしたらいいものか…。王都へは救援の連絡を送りました。」
見た感じ、このままここはお開きになりそうな雰囲気を感じるほど、酷い有様である。
「皆様はこのあとどうするご予定で?」
聞かれたので、世界樹を目指していることと、王都へ行くことを伝えた。
「ならば、お手数とは思いますが、こちらの二人を王都まで連れて行って頂けませんか?」
10歳位の男の子と、その少し下くらいの女の子である。
「今回のことで、親を亡くしてしまい…ここもこの有様なので、王都の孤児院へ連れて行って頂きたく…」
他の面子も、特に反対といった様子はないので引き受ける。
「構いませんよ。どの道行きますさかい!」
「ありがとうございます。二人とも挨拶なさい。」
そんなこんなで、新たに二人の連れが出来た。
ロビィとステラ。兄妹らしい。
二人とも親を奪われたショックで、かなり落ち込んでいる。
お兄ちゃんのロビィは、妹にその姿を見せまいと、無理をして空元気といった感である。
こんなことが起こった原因も気になるが、今は王都へ急ぐことが先決である。