契約
「どうだった?帰れそうな情報は得られたか?」
「現時点では無収穫だ。ただもしかしたら裏社会の奴らがなにかしら絡んでる可能性が高いとみているが、あいつから少し聞いてるんだろ?」
そう言いながら先ほど廊下ですれ違った店員を指を指すと客の対応をしながら気付いたのか視線を少しこちらへずらして来た。
「まぁな、だけど少ししか聞いていないんだ。どうせ話すんだからいいだろ?」
「そうだな。別にそれ自体は契約で縛られているから気にはしていない。」
そう、この世界では契約という魔術が存在してそれを行いうことでお互いの約束を反故には出来ない様になっている
「まぁ、あんたにこの契約の魔術を教えるのは大変だったからな。わかってくれているなら結構だ。」
この世界では「魔法」と「魔術」が存在する。
その違いは直接的か関節的かの大雑把な物なのだが、この世界の人達には体の中に「魔」が巡っておりそれを詠唱により発動させるのが魔法であり、陣形を描きそこに魔を流すことで発動させるのが魔術だ。
故に魔法陣という名称は無く魔術陣というのが正しいのだそうだ。
もちろん俺にも魔は通っておりそれを使いこなす事でスキルが発動する様になっている。
「そもそも突然この世界に来て頭がこんがらがってる時にこんな事を説明しても頭に入りきるかよ」
「俺たちだって急に異世界から来たなんて言われたら焦るだろう。全く聞いたことの無い地名ばかり言うんだ。お互い様だろう?おーさか?とーきょー?きゅーしゅー?何処だよそれってなるのもわかってくれよ。しかもあの雨の中落雷と一緒に落ちてきたなんていうのをわけわかんねえよ」
お互いに笑いながら話をしているがまさしくその通りであるので信じられない話がおかしすぎて笑い話になってしまう。
「まぁ俺はそれ以来マスターには世話になってるしな。感謝してる。」
「そうか、だがありがとうなんぞ言うなら俺からしたらあんたから情報を貰うことで動けている事だってあるんだ。こっちこそとしか返す言葉がねぇよ。」
「じゃぁ、契約に則って話し合いをおこないますか。もうビリビリを食らうのは勘弁だからな」
「あれはあんたが悪いんだよ!!」