バーの暗がり好きな相談屋
それは夜の出来事だった
とある薄暗く少し寂れたカウンター
割と広いバーの中でもそこだけが少し暗く感じる所がある。
そこが割と好きで好んでよく俺のいる特等席になっている。
カランカラン、、、
あたりを首を全開で振り回し誰かを探す動きをする女性が来た
いつもの風景だ
バーの店員が駆け寄り要件を聴いている。
その店員が決まったモーション、相手には見えない様にヂェスチャーでマスターと俺に伝える。
後ろの腰にまで手を持ってきて、指で鉤の形を見せた時は一杯「引っ掛けにきた客」で、指で払うモーションは俺の仕事だとなっている。
まぁあんなに慌てて入って来るんだ
少なからず飲みに来ているわけでは無いだろう
「マスター、行って来るよ。どうやら俺の仕事らしい」
とため息をつきながら若干高くなっているカウンターの椅子から降りる
「今回はどんな客だろうな、欲に塗れた相談か、恋愛相談か」
ガタイが良く歴戦の戦士の様な風貌であるマスターを見ると俺よりもマスターの方が頼り甲斐がありそうに見えてしまう
様々な相談に乗って来たのだろう、またかと言わんかばかりに愚痴る
「どっちだっていいさ、俺はマスターの邪魔だけはしないようにさせてもらうだけだ」
「だとしたら気にすんな、あんたの話割と俺の為にもなってるんだ。」
そう言ってもらえる場所はここくらいだろう
ここのマスターは俺の事情を知った上でここに置かせてくれている
「あんたの為になる相談だと良いな」
「そうそううまい話は無いさ、でもミリ単位の期待は必ず心の何処かでしてしまうものだな、今でもそう願ってる」
そう俺が言い終わるとマスターは俺に手を振りさっさと行けのジェスチャーをする。
さぁ、今日も深い闇夜が始まる