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「声帯認証アクセル」
「声帯認証アクセル」とは、2050年に開発された、全く新しい自動車のアクセルである。
頻発するブレーキとアクセルの踏み間違いを阻止するため、ある自動車メーカーが「そもそもアクセルペダルを無くし、声をアクセルにすれば事故は起きないのではないか」と発想、開発に至った。
これは運転手の声を予め一種類登録しておき、その音が発声された時のみアクセル始動、また声の大きさに連動してスピードが変化するという画期的なシステムであった。
登録する声は自由であったが、発声をやめると当然車は停車してしまい、また発声を大小調節できなければ車速を変えられないため、必然的に「アアアアアアアア」「ウォォォォォォォ」といった叫び声が主流となった。
結果、このシステムの普及に伴って街にはドライバーの叫び声が響き渡り、また高速道路を下りる頃には喉を枯らしている者が続出した。