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異世界戦争~日本の歩み~  作者: Venus
対馬海賊船出没事件
6/18

海賊船の進路

クハルナ王国歴136年 3月15日



「おかしら、異常でッせ!」

「なんじゃ!」


 訛りの強いクハルナ語を喋る薄汚い連中。それらは海賊と呼ばれた。

 クハルナ王国領海の近くで商船を襲撃して、金目の物を奪って生計を立てる犯罪者グループだった。


「それが……見知らぬ陸地があるんじゃ!」

「バカいうんじゃねぇぞ、このうすノロがっ!」


 他と比べれば豪華な船室。木の香りに混じる濃厚な酒の匂い。

 がたいのデカい海賊の頭目は汚い唾を飛ばして、凶悪な顔を顰めながら部下を睨む。

 報告してきた部下はそれにひっ、と怯んだ。


「嘘じぇありめせん、おかしら!ホントに陸地があるんでっせ!」

「この辺は未確認海域じゃぞっ!陸地なんて、そんな上等な物があるわけねぇだろうがっ!てめぇは死にてぇのかっ!?」

「お、おかしら、お待ちくだせぇ!おらはただ、他の奴らがそう言ってけぇといわれただけでっせ、切るなら他の奴にしてくだせぇ!」


 剣の柄を掴みながら眼光を光らせる頭目に部下は焦る。

 カットラスという剣で、刃が湾曲している。サーベルとは違い、刃が湾曲している側が鋭利になっており、山刀の様に短い。


「……良いじゃろう。俺も行って異常とやらを見てこよう」


 頭目はカットラスの柄から手を離し、部下に顎で出口を指し示す。案内しろ、と言いたいらしい。部下はもちろんです、とばかりに深く礼をしてから頭目の前を歩く。頭目はそれに続く。

 部屋を出ると、外に近い通路があった。頭目はズカズカと歩き、木造船の甲板に姿を現した。

「望遠鏡を出せっ、ヤロウがッ!」

「へいっ、おかしら!」


すぐに渡された大型の望遠鏡。海上を住居とする海賊たちには必須の道具だ。

海賊の頭目は一回覗き込んだ後、己の目を疑うかのようにまたもう一回覗いた。


「な!?なぜ、陸地があるんだっ!?」


有り得ねぇ!


頭目は驚きを隠せなかった。

ここは未確認海域であり、クハルナ王国より東の海には何の陸地もないはず……


突如出現した……!


「そんなことはどうでも良いっ!すぐにあそこに向かえっ!トレジャーがあるぞっ!」


頭目は興奮した口調で指で指した。ギラギラした目を向け、下品な笑い声を上げた。


……宝があるかもしれん!

いや、こんな秘境だ。きっとある!


かくして、海賊船は陸地―――――対馬に進路を取った。


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