報告
作者による内容の変更点が幾つかあります。
話の最初にある暦、月日、時間、場所の表記の内、時間と場所の表記を削除します。また、西暦2021年のところを2025年に変更します。
クハルナ王国の王都の名称をテピョンからソヤンに変更。
宮廷魔導師の種族をハイエルフからエルフに変更しました。
西暦2025年 3月17日
上村は四日、まともな睡眠も取らず、事態の収束に尽力している。精神的に極度の緊張を強いられているのだ。
苛々しながら、報告書を見ていく。
これ以上、国民に刺激を与えたら、何が起こるか分かったものではない。既に人の集まる都会では暴動も多く発生している。警察だけでは対応し切れず、自衛隊の治安出動が決定したのもこのためだ。
「……東京でこんなに犯罪数が伸びているとは思わなかった……こんな短期間で」
「国民は理解不能な大災害が起こって皆不安なのですよ、」
「分かっている!しかしこれは何だ!?外国人の割合が五割を越えてるじゃないか!?………どう言う事なんだ!?」
「北朝鮮や中国の工作員も含まれているのです」
真下が手に持っている書類を差し出す。
「警察庁公安部が入手しました。確認されているだけで20名以上の工作員と思しき人物の動きが活発になっています。それもごく一部です。公安部でも工作員の数は把握していません」
書類には顔写真とその横に調べられた本名、日本で名乗ってる偽名、所属が書かれてあった。
「朝鮮総連も動いているそうです」
「警察は?」
「既に動いています」
上村はふぅ~、と息を吐いた。
「とにかく、今は非常事態だ!買占めや暴動が多発している現在、すぐに食料不足や資源不足が露呈するだろう。今はまず、状況把握が何よりも急務。出来るだけ自衛隊の派遣を急いでくれ」
「分かっています!」