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西暦2025年 3月17日
僅かばかりの休憩の時間に、宮間は疲れを癒すかのように床に寝転がった。自衛隊員たちは文字通り夜通し日本全土大震災の被災者を救助していた。
「宮間二尉~、疲れましたぁ……」
「ご苦労さん」
「お、宮間二尉!デレましたねぇ~?」
「アホか、お前は……」
いつも通り、宮間と村岡がよろしくやっていると、ラジオからニュースが流れてきた。
『日本政府による発表です。非常事態宣言発令中の現在、国内で暴動が多発しており、日本国は国家存亡の危機に晒されていると前置きした上で、自衛隊の災害出動を治安出動に引き上げる方針を固めました。
また、政府は、排他的経済水域の異変や、外国からの通信が完全に断絶された中、海外で何らかの重大な事故が起こった可能性があると表明しています。
そんな中、上村首相は周辺地域への大規模な自衛隊による偵察及び派遣を実施すると、記者会見で発表しました。
これは極めて異例のことであり、野党の反対が予想されます――――――—――――』
「この国は一体どうしたんだろう?」
宮間は不安を押し殺す。
日本は史上最大の危機を迎えていると思われた。
自衛隊の海外偵察任務などそんな大規模でやることは出来ないはずなのだ。野党のみならず、国民の激しい批判が上がるだろう。
都市部での暴動が激化している今、発表すれば左派がどう反応するか分からない。
その時、宮間は地面が揺れるのを感じた。あの大地震から不定期で続いている余震だ。
「さて……休憩は終わりだ!」
「え~?宮間二尉、勘弁して下さいよ~。こっちは疲れ果ててるんですよ~」
「つべこべ言うな!俺だって疲れてるんだ。それに指揮官は俺だ!」




