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異世界戦争~日本の歩み~  作者: Venus
対馬海賊船出没事件
14/18

対馬海賊船事件の結末

西暦2025年 3月17日 




 対馬海賊船事件から二日。



『海上保安庁は、3月15日に対馬近海で起きた海賊と思しき乗員らとの戦闘により、隊員11名の死者と5名の行方不明者、さらに13名の重軽傷者が出ていることを発表しました。現在も行方不明者の捜索に当たっています。指揮を執った海上保安庁巡視船『あたご』の船長は、責任を取り、辞職。その他、関係者数名も辞職しました。

 この事件により、海上保安庁は、日本国家の主権の維持と、国民の人命を優先し、不審船に対してあらゆる措置を取ると、一層の強硬化を招いています』


「さすが、在日だ。やってくれるよね?」

そう言いながらテレビを消す。

さて、といった風に話し出す男性。中肉中背。別に珍しい容姿の男ではなかった。が、この場所では誰よりも権限がある男であった。


「奴らは何様だと思っているんだ?日本に居座ってただ邪魔をするだけの存在じゃないか………!?」

「………聞かなかったことにします、長官。いくらあなたが韓国人嫌いでも公務員には言ってはならないことがあるのですから」

 対馬海上保安部長官の加藤は韓国人嫌いで有名だった。まぁ、さすがに公衆の面前では口にしないが、直属の部下には機嫌が悪いときに延々と悪口を言うのだ。


 加藤はふと、部下がここにいる理由を思い出し、振り返った。

「で、あとどのくらいだ?」

 向かい側に立っていた部下に聞く。

「はっきりとしたことは何も……ただ、自衛隊の暗号解析(チーム)を始め、言語学者たちによる共同の分析を急ピッチで進めています。解析機械も使っているので、恐らくですが、一週間程度で簡単な意思疎通ははかれる見通しです」

「……そうか」

 対馬海上保安部長官は、おもむろに頷く。


 対馬海賊船事件で現行犯逮捕した僅か5人の重犯罪者に言葉が通じなかったため、政府や海保は必死に言語学者などを呼んだり、コンピュータを駆使して言語を調べているのだ。異例のことでもあった。

 海保は最悪規模の死者数を出したことによって激しく批判されているが、日本国外からの情報が海保から提供できる、ということで面子丸つぶれを回避できる可能性が増したため、それはもう必死になって調べている。



「まぁ、いい」

 そう呟いてから監視カメラから入ってくる映像に目をやる。


 尋問担当の海上保安官は、根気よく絵を指して色々と聞いている。


 全く、忌々しいことだ。

あの絵は確か、中学の英語の時間で使う教材だったような気がする。


 はぁぁぁぁ……


 大きなため息をついて目を瞑った。


「この日本では一体何が起こっているんだ………?」



 対馬海賊船事件と称された戦闘は、初の異世界人との接触として後世に伝えられている。

 だが、それは異世界人に対して憎しみを抱く要因の一つともなったのであった………




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