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プロローグ
神聖メルフィニア帝国歴1286年 花月14日20時 帝都ヴィルティア
朽ちかけた神殿。
そこに届く軍勢の足跡。
1000年以上もの栄華を誇った神聖メルフィニア帝国も最期は無残だった。
薄暗く、光の届かない暗闇の中、そこに存在していた少女の声が響き渡る。
『愚かなる存在よ』
多くの魔導師たちが円形に並んでいた。
『その身に宿いし欲望による』
魔導陣の中心にいるのは幼い少女だった。
『破滅の道開かん』
全員で詠唱する。
『出でよ、我が導きに』
魔導陣は段々光を放ち始めた。
『裁きの番兵よ』
光はかなり強くなる。
『異界を越え、大地の姿を現したまえ!』
直後、膨大な光が辺りを覆う。
そして、後には魔力を全て使い尽くした死体が数体残っているのみだった。