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人間観察が好きだ。

作者: AsK

「頑張っていると言える内は、頑張っていない。」

驚愕した。

自分の出来る範囲で何かをこなして、それを頑張っていると他人に言ったらこんな返答があったのだから。

私は都内に住む変哲もない学生である。

成績も特筆する点が無い至って普通なのですが、一つだけ変わっていることがあります。

自他共に変わっていると認めているのですが、他人の行動を観察して考察するのが好きなのです。

それをノートに纏めて「人間」というものを理解しようとしているのです。

自分でもある人間というものを理解したら神にでもなった気分になるのだ。

しかし、長く続けていたそれを自慢するかのように人に見せてしまったのが悪かったのかもしれない。

話の拍子にポロッと出てしまったのだが、興味を示してくれたものだからついノートを見せて語ってしまった。

「これ結構苦労してつけたんだ。個人情報は載せてないのだけど、詳細に纏めてあるつもり。いやー頑張ったよー」

返答はなかった、だが少しばかり有頂天になっていたのかもしれない私は気にもしなかったのだ。

一枚ずつページを捲っては一押しの項目を紹介して自分たちにも重ねてみた。

そうして返事もなくリアクションが薄くなっていることにやっと気づくと、自分のテンションも下がっていきなんとなく状況を理解し始めた。

恐る恐ると顔を伺ってみると、ノートを見せた時とは打って変わって相手の顔には表情がなかった。

そして言われたのがあの言葉である。

相手が去っていた後に考えた。

普通あの時出る言葉は、侮蔑、批判、貶すような言葉じゃないだろうか?

なのに、捉え方が変われば激励しているかのようにも聞こえる言葉を選んで口に出したのだろうか。

負け惜しみ?とりあえず何か言いたかったのか?

そう考えながらも自然と手は動いてノートの余白に書きだしていたのだ。

「驚きすぎて…いや、あの状況であの言葉が言えたなら自分が同じことを言われたのか…?」

1つの考えに辿り着くと手を止めて私は動き出す。

今度はまったくのタイプの違う人間に会いに。

そして言うのだ。

「頑張っているって言えるならまだまだ頑張ってないんじゃない?」


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