ねねこ様は恋をする。
今日、私は死ぬのでしょう。
あなたを遺してしまうけど、私は十分生きました。
あなたに出会った30年前。どんなに助けを求めても、誰もが見ない振りをして通りすぎて行ったあの時に、私に手を差し伸べてくれたあなたの、あんなにあった髪の毛が、今は見る影もない様に。わたしの、あなたが綺麗だねって撫でてくれた毛も、白いものが混じるようになりました。
あなたは毎朝、鏡の前で、悪あがきをするけれど、わたしは、その髪型は嫌いだったの。
あなたが、お洒落をするたびに、嫉妬したの。
あなたが、遅く帰ってくる度に、あなたの匂いを確かめたの。
あなたは、最後まで気づいてないでしょうけど。
あなたと一緒に過ごせるのは、今日で最後なのですね。
わたしの為に、泣いてください。
わたしの為に、食欲がなくなるほど落ち込んで。
わたしのことを、忘れないでくださいね。
そんなことを言いたいけれど、わたしは、黙ってゆきましょう。
本当はあなたの隣でゆきたいけれど、わたしは、隠れて、ゆきましょう。
こんなに、愛される、あなたは何と幸せなことでしょう。
こんなに、愛せた、わたしは何と幸せなことでしょう。
さて、そろそろ、わたしは、死にますが、最後に一言、申しましょう。
あなたは、ここに、いませんが。
もう喉がうまく動ませんが。
どうかあなたに、届いてください。