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ねねこ様は恋をする。

作者: 藤村さん

今日、私は死ぬのでしょう。



あなたを遺してしまうけど、私は十分生きました。


あなたに出会った30年前。どんなに助けを求めても、誰もが見ない振りをして通りすぎて行ったあの時に、私に手を差し伸べてくれたあなたの、あんなにあった髪の毛が、今は見る影もない様に。わたしの、あなたが綺麗だねって撫でてくれた毛も、白いものが混じるようになりました。



あなたは毎朝、鏡の前で、悪あがきをするけれど、わたしは、その髪型は嫌いだったの。


あなたが、お洒落をするたびに、嫉妬したの。

あなたが、遅く帰ってくる度に、あなたの匂いを確かめたの。


あなたは、最後まで気づいてないでしょうけど。



あなたと一緒に過ごせるのは、今日で最後なのですね。


わたしの為に、泣いてください。


わたしの為に、食欲がなくなるほど落ち込んで。


わたしのことを、忘れないでくださいね。



そんなことを言いたいけれど、わたしは、黙ってゆきましょう。


本当はあなたの隣でゆきたいけれど、わたしは、隠れて、ゆきましょう。


こんなに、愛される、あなたは何と幸せなことでしょう。


こんなに、愛せた、わたしは何と幸せなことでしょう。


さて、そろそろ、わたしは、死にますが、最後に一言、申しましょう。


あなたは、ここに、いませんが。


もう喉がうまく動ませんが。


どうかあなたに、届いてください。

















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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、リリカルですねえ。嫌いじゃないです、こういう雰囲気。 でも、結局『ねねこ様』って?? 猫は十年くらいしか生きないし、妖しの類? そこは気にしないのが正解だとは思いつつも、ちょっと呟…
[良い点] ふんわりしたファンタジーですね。 あとから、じわっと、きました。 [一言] こんな調子で、いいと思います。
2015/01/30 17:29 退会済み
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