古くなったビルが撤去されて、金色の龍神の通り道が復活したんだ。
金色の龍神は、感の良い人には見えるくらいになっていた。
食物連鎖の頂点にいると思っている人にとって、その巨大な金色の龍神の姿は衝撃を与えた。
古くなったビルが撤去されて、金色の龍神の通り道が復活したんだ。
僕は空を飛んでいく金色の龍神を見上げていた。
でも、僕の親友は愚痴った。
「だから何?お小遣いも上がらないし、急にモテるように成ることもなく。
勉強が出来るようになるわけでもなく、リア充に成れる訳じゃない」
親友はそう言いながらも、金色のソースが入った金色龍神バーガーを食べていた。僕もだが。「金色にすりゃー良いのか?」とは思ったけど。
「そうだけど」
「龍神が僕の前に現れて、素敵なアイテムをくれたり、願いを叶えてくれるなんて事はない。何かが変わった事なんて一度もなかった」
親友がなんか失望しているので、僕は僕なりのあらましを話した。
「壊される前のビルのちょうど龍神が通る高さの所に、託児所があった。
小学校に入る前の僕は、その託児所に預けられていた。
窓の外を見ると、金色の龍神が通れなくて困っていた。
僕はその龍神と何度か目が合った。
『通してくれないか?』
と龍神に言われたもんだから、僕はつい
『いいよ』
と返事をしてしまった。もちろん僕にそんな権限はない。
小さな幼稚園児に過ぎない。
でもね、その後、大人たちが騒がしくなって、撤去が決まり撤去された。
龍神が言うには、僕が『いいよ』と言ったのが始まりだったって。
僕が人間の代表だったんだって」
「意味解らない」
「そう世の中は意味が解らない事だらけなんだ」
「そう」
中3になった僕らは、真上を飛ぶ金色の龍神を見上げた。
金色の龍神が僕に気づくなんて事は、なかったけど。
そして人は、金色の龍神を空を飛ぶ大きな鯉ぐらいにしか、思わなくなっていった。
でもね、心を病んでいる人の数は激減したって、専門家のブログに書いてあった。
おしまい




