アイドルの君と、アイドルな僕
君はいつも美しくて、明るくて、向日葵のような女性だった。その瞳、Eラインの美しさ、鼻の高さ、その全てが美しくて僕は君に見惚れていた。きっと君のことが好きだったんだと思う。僕は君に好きだと言うことを伝えることができなかった。正確には、僕が君のことを好きだということを認めることができなかった。きっと僕は君のことが好きだったと思う。けど、僕は君のことを知るのが怖かった。君はきっと、みんなのもので、僕のものではない。アイドルの君は、きっとみんなの推しであり続けるべきだ。僕はそうやって自分の心に蓋をしていた。ずっと蓋をしていた。君に会うといつも、どうしたら良いのかわからなくなる。君の顔を見つめることもできない。目が合ったら、自分の心の奥まで見透かされてしまう気がして、いつも目を合わせられなかった。23歳にまでなって、まだこんなピュアな片想いしてるのかよって、自分でも嫌になった。
僕は、小学生の頃から中学生の頃までずっと好きだった人がいた。その子の名前は、4月に咲くあの花の名前と同じだった。今でもたまに夢を見る、そのくらい当時は好きだった。僕はその子のことをずっと追いかけていた。どうせ届かないだろう、どうせ僕なんかには届かない。ずっとそうやって手を伸ばしながら、いざ握れそうになった時に自らその手を離した。僕は遠くからその子を眺めるのが好きだった。美人で頭も良くて、運動もできて、誰からも愛されるその子に憧れていた。その子は僕のことをよく褒めてくれた。なぜだかわからない。他の男の子にもそんな話をしてるのかなと思ったけど、あんまりそんなそぶりはなくて、その子は一体何を思って僕のことを褒めてくるのかわからなかった。その子は未だに僕の夢に現れる。僕はその子に告白することができなかった。きっとその未練、それが何年経っても僕の心の奥底には残っているのだろうと思う。早くかき消したいと思う反面、叶わなかった儚い恋だったという自分の人生の宝物にしたい、そんな想いもあった。僕は、好きと伝えられなかったことがその経験だけなはずだった。
あれからもう何年経っただろう。君と出会ってしまった。君はアイドルをしていて、どんな時でも営業スマイルをみんなに分け与えている。僕も君の笑顔に励まされた、ただのファンの1人だ。本当に、ただの、ファンだ。ただの、ファン。僕は、君とリアルに会う機会があった。だけど、それは本当の君ではなくてアイドルの君として会う場であって、僕はそんなことも重々承知で君にガチ恋していた。アイドルにリア恋してしまうなんて、なんだか情けない。僕は弱い。弱いんだ。全然強くなんかない。誰よりも弱くて、この世界に存在している理由さえも見つからないくらいちっぽけで寂しい存在。現実では誰からも相手にされず、いつも孤独を噛み締めているただの23歳。外に出ても、知り合いなんかいなくて、もうこの世界は僕のことを忘れてしまったんじゃないか、そう思う日々が続く毎日。もう嫌だ、もういなくなってしまいたい、なんで僕は生きているんだ。そう思い悩んでいた矢先に出会ったのが、君だ。僕は、君に恋をしている。君のことが好きだ。いつも言うことはできないけど、ここでだけ言わせて欲しい。きっと僕はこれからも、君に好きだと言うことを伝えることができない。できたとしたら奇跡だ。そうだとしたら、僕は僕を祝福する。けど、僕はきっと言うつもりがない。だから、せめてここでだけは、僕の気持ちを伝えたい。そう思って、きっと僕はこの想いを綴っている。いつもありがとう。大好きだよ。これからも、見守らせて。そして、僕の弱さをどんな時でも受け止めて。僕は、自分の弱さを受け止めて、君のことを信じようと思う。僕は変わる。だから、僕は君に恋をする。




