表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

三兄弟と罠

作者: にっしー

色々と詰める箇所はありますが、いったんは物語と成立してたらいいです。

★第一章:三兄弟の成功★


 都心の一等地にそびえ立つ高層ビル。そこに入る企業のひとつに、建設業を営む『猪瀬建設』があった。代表を務めるのは長男・猪瀬剛。豪快な性格と大胆な決断力で会社を急成長させ、大規模なプロジェクトを次々と成功させてきた。


 「俺の会社がここまで来たのも、俺の腕ひとつだ!」


 剛は豪快に笑いながら、窓の外を見渡した。彼のオフィスは最上階にあり、下を見下ろせば、彼が手掛けた高層ビルがいくつも並んでいる。


 一方、次男の猪瀬仁は、都内でも有数のIT企業『INNOVISION』を経営していた。データマーケティングの分野で成功し、多くのクライアントを抱えるほどの企業へと成長させた。彼は冷静な性格で、論理的思考を駆使して次々と事業を拡大していく。


 「データは嘘をつかない。時代はすべて数字で動いているんだよ。」


 仁は新規投資案件の資料を見ながら、合理的な判断を下していた。彼は感情に左右されることなく、冷徹にビジネスの成長を考えていた。


 そして、三男の猪瀬悠は、二人の兄とは違う道を歩んでいた。彼は飲食業界に身を置き、『悠食堂』という地元密着型の飲食店を経営していた。派手な事業展開はせず、誠実な接客と堅実な経営で地域の人々に愛されていた。


 「商売は信頼がすべて。お客さんの声を大切にしていれば、どんな時代でも生き残れる。」


 悠は店のカウンター越しに常連客と談笑しながら、自分の信じる経営スタイルを貫いていた。


 三兄弟はそれぞれ異なる分野で成功を収めていた。


一人の男が彼らの前に現れるまでは・・・。


★第二章:それぞれの道★


----------長男・剛の道----------


 剛は父・猪瀬信一の建設会社を継ぎ、業界でのし上がることを夢見ていた。


 父の時代は、職人たちと共に一つひとつの建物を丁寧に仕上げることを信条としていた。しかし、剛は違った。彼は規模の大きな事業に挑戦し、企業としての成長を重視した。


 「細かいことを気にしていたら、デカい仕事は取れねぇ!」


 剛は大量の受注を取り、コスト削減を徹底することで利益を生み出していった。その手法は成功し、猪瀬建設は瞬く間に急成長を遂げた。


 しかし、その一方で、彼はリスク管理を軽視しがちだった。大量の受注は同時に大きな負債を生む。成功を重ねるたびに、彼は自分の力を過信し始めていた。


----------次男・仁の道----------


 仁は子供の頃から数字に強く、論理的思考を得意としていた。父の建設業には興味を持たず、自らの力で未来を切り開くことを決意する。


 大学卒業後、彼はデータマーケティングの会社を立ち上げた。


 「この時代、データが全てを動かす。俺はデータを制する者になる。」


 仁の会社『INNOVISION』は、マーケティングの分析ツールを開発し、大企業の広告戦略を成功へと導いた。データの力を駆使し、次々とクライアントを増やし、急成長を遂げた。


 だが、仁はビジネスに感情を挟まない。数字だけを頼りに判断を下し、成功者としての道を突き進んでいった。


----------三男・悠の道----------


 悠は、父・信一の生き方に強く影響を受けていた。


 「商売は信頼で成り立つ。お客さんを大切にしろ。」


 父の言葉を胸に刻み、悠は飲食業を選んだ。彼は地元で小さな定食屋を開き、常連客を大切にする経営を貫いた。


 剛や仁のように急成長することはなかったが、悠はそれで良かった。


 「確実に、人に愛される店を作る。それが俺のやり方だ。」


 父が生きていた頃、悠は彼の商売の哲学をよく聞いていた。


 「急ぎすぎるな。人の心を掴めば、必ず店は繁盛する。」


 悠は兄たちとは違い、地道に経営を続けていた。


三兄弟の交差点**


 三人はそれぞれの道を歩みながら、成功を手にしていた。しかし、兄たちは次第にリスクを顧みない経営を始める。


 そんなとき、一人の男が現れる。


 黒崎玄。


 彼は静かに、しかし確実に、三兄弟の人生へと影を落とし始めていた。


★第三章:忍び寄る影★


 黒崎玄は、高級ホテルのラウンジで静かにコーヒーを口に運んだ。窓の向こうには、都心の高層ビル群が広がっている。その中には、猪瀬剛の建設会社が手掛けたビルもあった。


 「まったく、立派なものだ……」


 彼は皮肉げに呟くと、薄く笑った。


 「今度は、俺たちの番だ。」


 彼はグラスに残った氷を転がしながら、すでに計画が動き始めていることを確信していた。


----------剛のもとに届いた甘い誘い----------


 その頃、猪瀬建設のオフィスでは、剛が新しいビジネスパートナーとの打ち合わせを終えたばかりだった。彼の元に届いたのは、ある巨大プロジェクトの話だった。


 「再開発地区の一帯を総合プロデュースか……これはデカい話だ。」


 剛は唸りながら資料をめくった。提案してきたのは黒崎が影で操る投資ファンドだった。


 「資金はすべてこちらで手配できます。ただし、プロジェクトの運営は完全に猪瀬建設にお任せします。」


 剛は一瞬、疑念を抱いた。しかし、目の前にあるのは数百億規模の案件。これを成功させれば、猪瀬建設はさらに大きく飛躍できる。


 「リスクなんて気にしていたら、前に進めねぇ!」


 剛はその申し出を快諾した。


----------仁への巧妙な仕掛け----------


 一方、次男の仁の元には、海外のベンチャー企業から興味深い投資案件の話が舞い込んでいた。


 「AIを活用したマーケティング自動化システム……か。」


 仁は資料を眺めながら、次の戦略を思案していた。そこへ現れたのが黒崎だった。


 「これは革新的な技術ですよ。今後の広告業界を塗り替える力を持っている。」


 黒崎は仁の前に座ると、冷静に語った。彼の言葉には、不思議な説得力があった。


 「我々がバックアップすれば、INNOVISIONは間違いなく業界トップになりますよ。」


 仁は一瞬考えたが、結局その提案を受け入れた。


----------悠の警戒----------


 三男の悠の元にも、同様に黒崎の手は伸びていた。


 「悠さん、フランチャイズ展開を考えませんか?」


 ある日、悠の店にスーツ姿の男がやってきた。彼は黒崎の差し金だった。


 「悠食堂のブランドを全国に広げるチャンスです。」


 だが、悠は静かに首を振った。


 「ありがたい話だけど、俺は今のやり方で十分なんでね。」


 黒崎の手は、三兄弟の中で唯一、悠には通じなかった。


 しかし、悠はまだ気づいていなかった。兄たちがすでに黒崎の罠に嵌まりつつあることを……。


★第四章:崩れゆく王国★


----------長男・剛の転落----------


 猪瀬建設のオフィスに、取引先からの怒声が響いた。


 「剛さん!これはどういうことですか!?資材が届かない?契約違反じゃないですか!」


 剛は額に汗を滲ませながら電話を握りしめた。


 「待て!落ち着け!必ず手配する!」


 だが、電話を切った瞬間、秘書が駆け込んできた。


 「社長!資金の流れに異常があったことがわかり、黒崎ファンドからの資金が突然凍結されました!!」


 剛の背筋が凍った。


 「……何だと?」


 彼が即座に銀行へ確認を取ると、さらなる悪報が届いた。


 「猪瀬建設が信用リスクの高い企業として登録され、金融機関からの追加融資が不可能になっています。」


 剛は震える手で机を叩いた。


 「くそっ……何がどうなってるんだ....?」


 ふと、剛は黒崎へ連絡しようと携帯をとる。\

(そうだ。あいつに確認すれりゃ何かわかるだろ)


 電話帳から「黒崎」を選択し、電話番号をタップするが「おかけになった電話番号は......」と、アナウンスが流れ、すでに電話は繋がらなくなっていた。


----------次男・仁の罠----------


 一方、仁もまた、自らのデスクに座りながら異変を察知していた。


 「おかしい……投資したはずのベンチャー企業が、どこにも存在しない?」


 彼はパートナー企業の情報を改めて確認したが、そのすべてが虚偽の情報であったことが判明した。


 「黒崎……まさか……」


 更に悪いことに、取引先のクライアントたちが次々と契約を打ち切り始めていた。


 「猪瀬さん、御社が関与している企業が架空会社だと知った以上、これ以上の契約は継続できません。」


 仁は冷静さを失いかけた。


 「そんなはずはない……!」


 彼はすぐに黒崎に連絡を取ろうとしたが、剛と同じく、電話はすでに繋がらなかった。


----------悠の直感----------


 悠は兄たちの異変に気づいていた。


 「兄貴たちが妙に静かだ……何かあったな。」


 彼は猪瀬建設へ向かうと、剛が焦燥しきった顔でデスクにうずくまっているのを見つけた。


 「剛兄さん……何があった?」


 剛は顔を上げると、悠の襟首を掴んで叫んだ。


 「黒崎だ!あいつが俺たちを騙しやがった!」


 悠は剛の手を振りほどき、冷静に言った。


 「……なにかがおかしい。」


★第五章:反撃の狼煙★


----------悠の決意----------


 悠は冷静に状況を整理しながら、剛と仁を見渡した。


 「兄貴たちは、もうほとんど詰んでる。でも、まだ手はある。」


 剛は拳を握り締め、唇を噛んだ。


 「どうすりゃいい……?」


 悠はゆっくりと椅子に座り、深く息をついた。


 「黒崎は俺たちの会社を潰しにかかった。でも、詐欺をするには必ず証拠が残る。特に資金の流れだ。」


 仁がその言葉を聞いて顔を上げた。


 「確かに……投資のデータや契約の履歴、資金の送金先……それらを調べれば黒崎がどこで何をしているかが見えてくるはずだ。」


 悠は頷き、さらに言葉を続けた。


 「それに、奴が仕掛けた契約には抜け道があるはずだ。契約書を精査して、法的に反撃する方法を探る。」


 剛は深くうなずき、立ち上がった。


 「よし……やるしかねぇな!」


----------黒崎の手がかり----------


 三兄弟はそれぞれの担当を決め、動き出した。


 悠は契約書を細かく分析し、黒崎が仕掛けた巧妙な罠を見つけようとした。


 剛は金融機関との交渉に向かい、まだ信用回復の余地があるかを模索した。


 仁は会社のデータを遡り、黒崎がどのように資金を動かしていたのかを追跡し始めた。


 「おかしい……資金の流れが複雑すぎる。わざと分散させて足をつかせないようにしている。」


 仁は画面を見つめながら、黒崎の手口の巧妙さに舌を巻いた。


 しかし、彼はそこで重要な発見をする。


 「……黒崎の送金先の一部が、海外の違法ファンドと繋がっている。」


 この事実を掴めば、警察に通報することも可能だ。


 悠は仁の肩を叩いた。


 「よし……それを証拠にすれば、黒崎を追い詰められる。」


----------剛の交渉----------


 一方、剛は銀行と交渉を続けていた。


 「このままでは猪瀬建設は倒産してしまう。しかし、これは俺たちの落ち度ではない。詐欺師に嵌められたんだ。」


 銀行側も事態を重く見始めていた。


 「もし、詐欺の証拠が出れば、再融資の可能性もあります。しかし……」


 銀行の担当者が慎重な表情で言葉を選ぶ。


 「その証拠をしっかりと示さなければ、融資を続けることは難しいでしょう。」


 剛は深く頷いた。


 「必ず持ってくる。少しだけ待っていてくれ。」


----------悠の直感と罠----------


 三兄弟はついに黒崎の動きを完全に掴んだ。


 悠は静かに電話を取り、黒崎の関係者とされる一人に連絡を取った。


 「黒崎さんに伝えてくれ。俺たちはすべてを知った。もしこのまま逃げようとするなら、警察に証拠をすべて提出する。」


 数時間後、黒崎からの連絡が入る。


 「悠……お前は最後までしぶといな。」


 悠は無言のまま電話を握り締めた。


 「どこで会う?」


 「お前の店だ。そこで決着をつけよう。」


 黒崎はその提案を受け、ついに姿を現すこととなった。


----------対峙の時----------


 夜の『悠食堂』。


 店内の明かりはほのかに灯り、三兄弟は黒崎を待っていた。


 ドアが開く。


 黒崎が静かに入ってきた。


 「まさか、こんな形で再会するとはな。」


 悠はカウンター越しに黒崎を見つめた。


 「……兄貴たちを騙した理由を聞かせてもらおうか。」


 黒崎は薄く笑った。


 「理由?簡単なことだよ。お前たちの父親が、俺の人生を壊したんだ。」


 彼から発せられた言葉に身に覚えがなかった。


 剛が詰めよる


「お前は何を言ってるんだ?」


 黒崎は唇を嚙みながら


「お前らは、なぜこの状況になったのかわからないのか....!?」


 黒崎玄は、かつて建設業界の若きエリートだった。


 彼は『黒崎建設』という会社を立ち上げ、信念を持って経営に取り組んでいた。しかし、その前に立ちはだかったのが猪瀬信一、三兄弟の父だった。


 信一の経営する猪瀬建設は、地元の信頼を勝ち取り、官民問わず多くの案件を手がけていた。黒崎は何度も猪瀬建設に競り勝とうとしたが、そのたびに信一の堅実な経営力と人望の前に敗れ去った。


 「黒崎、お前の会社は急ぎすぎている。企業というものは、利益だけを追いかけるのではなく、人の信頼の上に成り立つものだ。」


 信一の言葉は、黒崎の胸に深く突き刺さった。


 焦り、無理な投資を繰り返した黒崎は、ついに資金繰りが破綻し、会社は倒産した。彼は人生のすべてを失い、破滅のどん底に突き落とされた。


 「俺の人生を壊したのは猪瀬信一だ……ならば、その息子たちにも同じ目に遭わせてやる……!」


 それから黒崎は裏社会へと足を踏み入れ、詐欺や投資詐欺の手口を学んだ。そして、長年の計画の末、猪瀬三兄弟に近づき、彼らを破滅へと追い込む策略を練り上げたのだった。


★第六章:決着の時★


----------黒崎----------


 悠食堂の店内には静かな緊張感が漂っていた。


 黒崎は悠の前に座り、ゆっくりと手を組んだ。


 「お前らもよくここまでやったな。だが、俺が本気を出せば、まだ終わりじゃない。」


 悠は無表情のまま、カウンターの上に一枚の書類を置いた。


 「これはお前が海外の違法ファンドと取引していた証拠だ。」


 黒崎は書類を一瞥し、苦笑した。


 「……なるほどな。だが、俺にはまだ逃げ道がある。」


 彼はポケットからスマートフォンを取り出し、どこかへ電話をかけた。


 「もしもし……計画を変更する。証拠を全て消せ。」


 剛が黒崎の手を叩き落とした。


 「もう遅い!お前の悪事は全部暴かれたんだよ!」


 黒崎はゆっくりと立ち上がり、剛を睨みつけた。


 「お前らの血筋は本当にしぶとい……。」


 その瞬間、店の外から警察のサイレンが鳴り響いた。


 悠は静かに言った。


 「お前は詰んでる。あとは、おとなしくするんだな。」


 黒崎はため息をつき、手を上げた。


 「……やられたよ。」


 警察が店内に踏み込み、黒崎を逮捕した。


 「黒崎玄、詐欺容疑で逮捕する。」


 黒崎は手錠をかけられ、警察に連行されていった。


★三兄弟の再出発★


 黒崎が逮捕された後、三兄弟はそれぞれの会社を立て直すことに奔走した。


 剛は信用を回復し、猪瀬建設を再建するために奔走した。仁もまた、データマーケティングの信頼を取り戻すために奮闘している。


 一方、悠は変わらず悠食堂を守り続けていた。


 ある日、剛と仁が悠食堂を訪れた。


 「お前には助けられたよ、悠。」


 剛がビールを飲みながらしみじみと呟いた。


 仁もまた、笑みを浮かべた。


 「まさか、お前が一番しっかりしてるとはな。」


 悠は微笑みながら、二人のグラスに酒を注いだ。


 「これからは、家族として支え合っていこうぜ。」


 三兄弟はグラスを合わせ、新たな未来に向けて乾杯した。


 そう、まるでそれは現代版「3匹の子豚」のような物語だ。

書きたかったものを創作できたので自己満ですw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ